こんにちは。しーちゃんです。
前回の記事では、夜勤前の情報収集で「何から見ればいいのか」「申し送りで何を拾えばいいのか」「電子カルテや点滴・内服をどう確認するのか」をお話ししました。
今回はその第二弾です。テーマは、集めた情報を夜勤中にどう使うか。
情報収集は、カルテをたくさん読むことがゴールではありません。夜勤中に患者さんの変化に気づくため、優先順位をつけるため、先輩に相談するタイミングを逃さないため、そして朝の申し送りで必要なことを伝えるためにあります。
新人ナースさんの中には、「一生懸命情報収集したのに、夜勤が始まると結局バタバタして何を見ればいいかわからなくなる」という人も多いと思います。これは、情報収集ができていないからではなく、集めた情報を夜勤の動きに変換する練習がまだ途中だからです。

前回のやり方で情報は集められるようになってきたんだけど、夜勤が始まると全部飛んじゃうんだよね…。結局、目の前のナースコールに追われちゃう。

それ、すごく自然なことだよ。情報収集は「集める力」と「使う力」が別なの。第二弾では、集めた情報を夜勤中の判断に変えるコツを一緒に整理しよう。
情報収集はしたのに、夜勤中に見返す余裕がない
患者さんの優先順位がわからず、全部が同じくらい不安に見える
ナースコール対応で予定が崩れると焦ってしまう
先輩にいつ相談すればいいかわからない
朝の申し送りで何を伝えるべきか迷う
夜勤後に「あれを見落としていた」と落ち込む
急変が怖くて、ずっと落ち着かない
自分のメモが夜勤中に役立っていない気がする
ひとつでも当てはまったら、この記事はきっと役に立ちます。完璧な夜勤を目指すのではなく、「見落としを減らす」「焦った時に戻れる型を作る」ことを目標に、一緒に整理していきましょう。
- 第二弾の結論:夜勤の情報収集は「使う順番」まで決めておく
- 夜勤開始直後にやること:まず「今夜の危ない順」を決める
- 情報収集メモは「夜勤中に見返せる形」に変える
- 夜勤中の巡視は「変化を探す時間」
- ナースコールで予定が崩れた時の戻り方
- 先輩に相談するタイミングは「不安になってから」では少し遅い
- 朝の申し送りは、夜勤中の情報収集の集大成
- 夜勤後の振り返りは30秒でいい
- しーちゃん直伝:夜勤中に使える情報収集メモの型
- それでも夜勤がつらい時は、環境を見直していい
- 患者さん別:夜勤中に情報をどう使うか
- 新人ナースがやりがちな情報収集の失敗パターン
- 夜勤が終わった後、次の情報収集が少し楽になる振り返り
- まとめ:情報収集は「患者さんを守る行動」に変えていこう
- 🛒 しーちゃんのおすすめ情報
第二弾の結論:夜勤の情報収集は「使う順番」まで決めておく
夜勤前に集めた情報は、頭の中に入れておくだけでは足りません。夜勤中はナースコール、点滴更新、内服、排泄介助、不穏対応、急な発熱、家族対応など、予定外のことが次々に起こります。だからこそ、事前に「この情報はどの場面で使うのか」まで決めておく必要があります。
しーちゃんが新人さんにおすすめしたい考え方は、情報を3つの箱に分けることです。
夜勤情報の3つの箱
① 今すぐ動きに関わる情報:点滴時間、内服、血糖測定、処置、検査前後の注意
② 観察の優先順位に関わる情報:発熱、呼吸状態、疼痛、不穏、転倒リスク、術後、せん妄リスク
③ 朝の申し送りに関わる情報:夜間の変化、対応したこと、残っている課題、日勤に引き継ぐこと
この3つに分けるだけで、情報収集の意味が変わります。「知っている情報」ではなく、「今夜の行動に使える情報」になります。

情報って全部同じメモに書いてた…。だから夜勤中にどれを見ればいいかわからなかったのかも。

そうそう。情報の量を増やすより、使う場所で分ける方が大事。夜勤中の自分が見返しやすいメモにしてあげよう。
夜勤開始直後にやること:まず「今夜の危ない順」を決める
夜勤が始まったら、最初に全患者さんを同じ重さで見ようとしないことが大切です。もちろん全員大切です。でも、夜勤中に変化が起きやすい患者さん、すぐ対応が必要になりやすい患者さんはいます。
新人の頃は、全員が怖く見えます。少し熱がある人も怖いし、点滴が多い人も怖いし、転倒歴がある人も怖い。けれど、全部を同じ緊張度で見ていると、自分の集中力が持ちません。だから「今夜の危ない順」をざっくり決めます。
優先順位を上げる患者さんの例
- 術後当日、または術後早期の患者さん
- 呼吸状態が不安定、酸素投与中、SpO2低下がある患者さん
- 発熱、血圧低下、頻脈などバイタル変動がある患者さん
- せん妄、不穏、転倒転落リスクが高い患者さん
- 点滴や薬剤管理が複雑な患者さん
- 血糖管理、インスリン、抗凝固薬、麻薬、鎮静薬など注意薬がある患者さん
- 夜間に医師指示で観察項目や処置がある患者さん
- 日中に状態変化があり、まだ落ち着ききっていない患者さん
このリストに当てはまる患者さんは、夜勤開始時点でメモに印をつけておきます。しーちゃんは、優先度が高い患者さんに「★」、転倒注意に「転」、点滴注意に「点」、不穏注意に「不」など、自分だけがわかる短い記号をつけるのがおすすめです。
大切なのは、細かくきれいに書くことではありません。夜勤中にパッと見て、「この人は先に見に行く」「この人は点滴時間を忘れない」「この人は巡視で環境を確認する」と思い出せることです。

優先順位って、先輩みたいに瞬時に判断できないとダメだと思ってた。

最初から瞬時にできなくて大丈夫。新人さんは、まず印をつけて見える化するだけでいいよ。見える化できると、焦った時に戻れるからね。
情報収集メモは「夜勤中に見返せる形」に変える
情報収集メモでよくある失敗は、カルテの内容を書き写しすぎることです。書いている時は安心しますが、夜勤が始まると長すぎて見返せません。夜勤中に使えるメモは、文章がきれいなメモではなく、数秒で意味がわかるメモです。
たとえば、長く書くとこうなります。
「Aさんは肺炎で入院中。昨日夜間から発熱あり。抗菌薬投与中。酸素2Lカニューラ。夜間SpO2低下注意。痰が多い。食事摂取不良。夜間せん妄あり。転倒リスクあり。」
もちろん内容は大事です。でも夜勤中にパッと見るなら、もっと短くして大丈夫です。
Aさん:肺炎・O2 2L・痰多い・夜SpO2注意・発熱・不穏転倒注意
見るポイント:呼吸音、SpO2、体温、痰、睡眠、離床
このくらい短くすると、巡視前やナースコール対応の合間に見返せます。ポイントは「病名」よりも「今夜何を見るか」を書くことです。
メモに残すと夜勤中に助かる情報
- 時間でやること:点滴更新、抗生剤、血糖測定、内服、処置
- 変化しやすいこと:発熱、SpO2、血圧、疼痛、意識レベル、尿量
- 事故につながること:転倒、自己抜去、せん妄、不穏、離床センサー
- 相談が必要な条件:何度以上の発熱、血圧いくつ以下、SpO2何%以下、疼痛増強時
- 朝に送ること:夜間の変化、対応、未実施、日勤で確認してほしいこと
新人さんは、最初から完璧なメモを作ろうとしなくて大丈夫です。大切なのは「夜勤中の自分が使えるか」です。未来の自分を助けるメモを作るイメージで書いてみましょう。
夜勤中の巡視は「変化を探す時間」
巡視は、患者さんが寝ているかを見るだけの時間ではありません。夜勤中の巡視は、情報収集で集めた注意点と、目の前の患者さんの状態を照らし合わせる時間です。
たとえば、情報収集で「せん妄リスクあり」とわかっている患者さんなら、巡視では寝ているかだけでなく、ベッド周囲の環境、点滴ルート、センサー、履物、ナースコールの位置、表情、独語、体動の増加などを見ます。
「肺炎でSpO2低下注意」とわかっている患者さんなら、モニター値だけでなく、呼吸の深さ、努力呼吸、痰の音、体位、顔色、眠れているかを見ます。数字だけで安心しないことが大切です。

巡視って、寝てるか確認して終わりになってたかも…。

最初はそれでも必死だよね。でも第二弾では一歩進んで、「この患者さんは何が起きやすいから、何を見るんだっけ?」って考えながら巡視してみよう。
巡視で見るポイントを患者さんごとに変える
全員に同じ見方をするのではなく、患者さんごとに見るポイントを変えると、観察がぐっと実践的になります。
転倒リスクが高い患者さん
ベッド柵、センサー、履物、トイレ希望、尿意、不穏、眠剤使用後のふらつき
呼吸状態が不安な患者さん
SpO2、呼吸数、努力呼吸、痰、体位、酸素チューブのずれ、顔色
術後の患者さん
疼痛、出血、ドレーン、尿量、悪心、バイタル、創部、離床状況
点滴管理が複雑な患者さん
残量、滴下、ルート閉塞、刺入部、次の点滴、時間指示、自己抜去リスク
巡視は回数だけではなく、質が大切です。短い時間でも、見るべきポイントが決まっていると、先輩に報告する材料が増えます。
ナースコールで予定が崩れた時の戻り方
夜勤でいちばん焦るのは、予定通りに進まない時です。点滴更新をしようと思った瞬間にナースコール、トイレ介助が続く、別の患者さんが不穏になる、記録が進まない。新人さんはここで「全部終わらない」とパニックになりやすいです。
そんな時は、頭の中だけで立て直そうとしないでください。メモに戻ります。夜勤中のメモは、予定が崩れた時の地図です。
予定が崩れた時の3ステップ
① 今すぐ危ない患者さんはいないか確認する
② 時間指定の業務を確認する
③ 後回しにできること、先輩に相談することを分ける
ここで大切なのは、「全部自分で取り戻そう」としないことです。夜勤はチームで患者さんを守る時間です。時間指定の点滴や処置に間に合わない可能性があるなら、早めに先輩へ伝えます。

忙しい時に「手伝ってください」って言うのが怖い…。自分ができない人みたいで。

気持ちはわかるよ。でも、遅れてから言われるより、早めに言ってくれた方が先輩も動きやすいの。報告は弱さじゃなくて、安全を守る行動だよ。
先輩に相談するタイミングは「不安になってから」では少し遅い
新人さんは、先輩に相談するタイミングで悩みます。「こんなことで聞いていいのかな」「忙しそうだな」「もう少し自分で見てからにしよう」と思っているうちに、状況が進んでしまうことがあります。
もちろん、何でもすぐ丸投げする必要はありません。でも、夜勤では早めの相談が患者さんを守ります。特に、状態変化がある患者さんや、指示の解釈に迷う場面では、早めに確認する方が安全です。
相談した方がいいサイン
- バイタルがいつもと違う、または指示範囲から外れている
- SpO2低下、呼吸苦、顔色不良、冷汗などがある
- 意識レベルや会話の様子がいつもと違う
- 疼痛が強く、頓用薬の使い方に迷う
- 不穏や離床が増えて、転倒リスクが上がっている
- 点滴や内服の指示が曖昧で判断に迷う
- 患者さんや家族から強い訴えがあり、自分だけでは整理できない
- 自分の中で「なんか変」と感じる
特に最後の「なんか変」は大切です。新人さんは経験が少ないからこそ、自分の違和感に自信が持てないかもしれません。でも、患者さんのそばで見ているあなたが感じた違和感には意味があります。
先輩に伝える時は、感情だけではなく、見た事実を添えると相談しやすくなります。
相談の言い方例
「Aさん、いつもより呼吸が速く見えます。SpO2は96%ですが、痰が絡んでいて顔色も少し悪いです。一緒に見てもらえますか?」
「Bさん、21時から離床が増えています。眠前薬の後でふらつきもあり、転倒が心配です。環境調整を一緒に確認してもらえますか?」
このように「自分が何を見たか」「何が心配か」「何をしてほしいか」をセットで伝えると、先輩も状況をつかみやすくなります。
朝の申し送りは、夜勤中の情報収集の集大成
夜勤の情報収集は、朝の申し送りまで続いています。夜勤前に集めた情報、夜勤中に観察した変化、実施した対応、残った課題。これを日勤に渡すことで、患者さんのケアがつながります。
新人さんは朝の申し送りで、全部話そうとして長くなったり、逆に緊張して大事なことが抜けたりします。申し送りのコツは、「日勤さんが今日動くために必要な情報」を優先することです。
朝の申し送りで伝えること
- 夜間に変化があったこと
- 実施した対応と、その後どうなったか
- まだ続いている問題や観察が必要なこと
- 医師へ報告済みか、指示が出ているか
- 日勤帯で確認・継続してほしいこと
たとえば、「夜間不穏でした」だけでは、日勤者は何を続ければいいかわかりません。もう少し具体的に伝えます。
申し送り例
「Aさん、0時頃からトイレ希望で離床が増えました。センサー対応し、ベッド周囲を整理しています。2時以降は入眠していますが、眠前薬後のふらつきがあったので、日中も離床時の見守りをお願いします。」
このように、出来事、対応、結果、日勤へのお願いまで入れると、申し送りがぐっと伝わりやすくなります。

申し送りって、何を言えばいいかわからなくて、長くなったり短すぎたりする…。

朝の申し送りは「出来事」「対応」「結果」「引き継ぎ」の4つで考えるといいよ。夜勤中のメモもこの4つで残しておくと、朝が楽になるよ。
夜勤後の振り返りは30秒でいい
夜勤が終わった後は、反省会が止まらなくなることがあります。「もっと早く気づけばよかった」「あの報告でよかったのかな」「先輩に迷惑をかけたかも」と、帰り道にぐるぐる考えてしまう。
でも、夜勤明けの長い反省会は心を削ります。振り返りは大事ですが、夜勤明けに自分を責め続ける必要はありません。しーちゃんがおすすめするのは、30秒だけの振り返りです。
夜勤明け30秒振り返り
① 今日できたことを1つ書く
② 次に気をつけることを1つ書く
③ 先輩に確認したいことを1つ書く
「できなかったこと」だけでなく、「できたこと」を必ず入れてください。新人さんは、自分の成長に気づきにくいです。でも、昨日より早く点滴時間を確認できた、患者さんの変化を先輩に相談できた、朝の申し送りで一つ伝えられた。それはちゃんと成長です。
情報収集も夜勤の動き方も、一回で身につくものではありません。夜勤のたびに少しずつ、見えるものが増えていきます。焦らなくて大丈夫です。
しーちゃん直伝:夜勤中に使える情報収集メモの型
ここで、第二弾のまとめとして、夜勤中に使いやすいメモの型を紹介します。病院や病棟によってルールは違うので、自分の職場に合わせて調整してください。
患者さんごとのミニメモ
名前:Aさん
主な病態:肺炎、O2 2L
今夜見ること:SpO2、痰、発熱、呼吸苦
時間業務:抗生剤22時、検温0時・4時
リスク:不穏、転倒、自己抜去
相談条件:SpO2低下、呼吸苦増強、38度以上
朝送ること:夜間の呼吸状態、痰、発熱、睡眠
この型の良いところは、夜勤前、夜勤中、朝の申し送りまで同じメモを使えることです。夜勤前に書いて、夜勤中に追記して、朝に申し送りへ変換する。そうすると、情報収集が一本の流れになります。

これなら夜勤中に見返せそう!全部カルテから写すんじゃなくて、見るポイントに変えるんだね。

そう!情報収集は翻訳作業みたいなもの。カルテの情報を、夜勤中の自分が動ける言葉に変えてあげるの。
それでも夜勤がつらい時は、環境を見直していい
ここまで夜勤の情報収集と使い方をお話ししました。でも、どれだけ工夫しても、夜勤が体に合わない人、今の病棟の忙しさが限界に近い人、人間関係で心がすり減っている人もいます。
努力で乗り越えられる部分と、環境を変えた方がいい部分は別です。情報収集が苦手だから自分がだめ、夜勤で毎回泣くから看護師に向いていない、とすぐ決めつけないでください。急性期が合わないだけかもしれないし、夜勤回数が多すぎるのかもしれないし、教育体制が合っていないのかもしれません。
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もちろん、すぐ転職しなければいけないわけではありません。大切なのは、今の場所で踏ん張る以外にも選択肢があると知っておくことです。選択肢があるだけで、心が少し軽くなることがあります。
患者さん別:夜勤中に情報をどう使うか
ここからは、もう少し具体的に患者さんのタイプ別で考えてみます。同じ「情報収集」でも、患者さんによって夜勤中に見るポイントは変わります。新人さんは、患者さん全員に同じ観察をしようとして疲れてしまうことがありますが、本当は「その人に起きやすいこと」を中心に見ればいいのです。
発熱がある患者さん
発熱がある患者さんでは、体温だけを追うのではなく、寒気、発汗、血圧、脈拍、呼吸状態、意識レベル、尿量、食事・水分摂取もセットで見ます。夜勤前に「何度以上で報告」「解熱剤の条件」「抗生剤の時間」「採血予定の有無」を確認しておくと、夜間に慌てにくくなります。
夜勤中に発熱した時は、「熱が出ました」だけではなく、「何時から、何度で、他のバイタルはどうか、症状はあるか、頓用薬の指示はあるか」まで整理して先輩に相談できると、とても伝わりやすくなります。
転倒リスクが高い患者さん
転倒リスクが高い患者さんは、夜間に一気に危険度が上がります。眠剤を飲んだ後、トイレに行きたい時、せん妄が出た時、家にいる感覚で立ち上がろうとした時。こうした場面を予測して、巡視前から環境を整えておくことが大切です。
情報収集では、転倒歴、認知機能、排泄パターン、眠剤や利尿薬の有無、センサー使用、歩行状態を確認します。夜勤中は、ベッド周囲に物が落ちていないか、ナースコールが届くか、履物は安全か、トイレ誘導のタイミングは合っているかを見ます。
点滴が多い患者さん
点滴が多い患者さんでは、薬剤名を全部覚えるよりも、まず時間と本数を把握します。「今夜何本あるか」「何時に終わりそうか」「次の点滴は出ているか」「ラインは何本か」「刺入部は大丈夫か」。この5つが夜勤中の安心材料になります。
日付をまたぐ夜勤では、翌日分の点滴指示が出ているかも必ず確認したいポイントです。点滴が終わったのに次がない、指示が古い、速度が合わない、刺入部が腫れている。こうした時に焦らないためにも、開始前に「点滴地図」を作っておくイメージで見ておきましょう。
不穏・せん妄リスクがある患者さん
不穏やせん妄は、患者さん本人にとっても苦しい状態です。看護師側から見ると「落ち着かない患者さん」と見えてしまうこともありますが、患者さんの中では恐怖や混乱が起きていることがあります。
情報収集では、日中の様子、夜間の睡眠、見当識、点滴やドレーン類、痛み、排泄、家族の面会状況、眠剤の有無を確認します。夜勤中は、声かけの仕方、照明、物音、トイレ誘導、疼痛コントロールなど、できる範囲で刺激を減らします。

患者さん別に見るポイントが違うって考えると、少し整理しやすいかも。全員に全部を見ようとしてたから疲れてたんだ…。

そうなの。全部を見るんじゃなくて、その患者さんに起きやすいことを優先して見る。それが夜勤中の情報の使い方だよ。
新人ナースがやりがちな情報収集の失敗パターン
ここでは、新人ナースさんがやりがちな失敗も整理しておきます。失敗と書くと少し怖く感じるかもしれませんが、どれもよくあることです。知っておくだけで、次の夜勤で気づきやすくなります。
失敗1:カルテを読みすぎて、時間業務の確認が後回しになる
疾患や経過を理解しようとする姿勢はとても大切です。ただ、夜勤前の限られた時間でカルテを深追いしすぎると、点滴、内服、血糖測定、処置などの時間業務の確認が後回しになります。夜勤で遅れると危険につながりやすいのは、まず時間で決まっている業務です。
おすすめは、最初に時間業務だけ先に拾うことです。詳しい病態理解はその後にします。「何時に何をするか」が見えているだけで、夜勤開始後の焦りがかなり減ります。
失敗2:メモが詳しすぎて、夜勤中に読めない
一生懸命書いたメモほど、夜勤中に読めないことがあります。字が小さい、文章が長い、どこが重要かわからない。これでは、せっかく集めた情報が使えません。メモは自分だけがわかる略語や記号を使って大丈夫です。大切なのは、きれいさではなく再現性です。
失敗3:不安な患者さんを後回しにしてしまう
忙しい時ほど、つい簡単に終わる業務から手をつけたくなります。でも、「なんとなく気になる患者さん」「日中に変化があった患者さん」「指示が複雑な患者さん」を後回しにすると、後からさらに焦ることがあります。夜勤開始直後に一度見に行く、先輩と一緒に確認する、メモに大きく印をつける。これだけでも安心感が変わります。
失敗4:相談する時に、自分の観察を言えない
先輩に相談する時、「なんか不安です」だけだと、先輩も状況をつかみにくいことがあります。不安でいいのですが、そこに観察した事実をひとつ添えましょう。「いつもより呼吸が速く見えます」「眠前薬後からふらつきがあります」「点滴刺入部が少し腫れているように見えます」。これだけで相談の質が変わります。
夜勤が終わった後、次の情報収集が少し楽になる振り返り
情報収集が上手になる人は、夜勤前だけでなく、夜勤後にも少しだけ振り返っています。長い反省会ではありません。次の夜勤の自分に渡すメモを作るイメージです。
次の夜勤に活かす振り返り
・今回、見落としそうになった情報は何か
・先輩に確認してよかったことは何か
・朝の申し送りで言いにくかったことは何か
・次回、最初に確認したい項目は何か
この振り返りをしておくと、次の情報収集で見る目が変わります。「前回、点滴の次ボトル確認で焦ったから、今回は最初に見る」「転倒リスクの患者さんでトイレパターンを見落としたから、今回は排泄を先に確認する」。このように、自分の経験がそのまま情報収集の精度になります。
看護師の成長は、完璧な勤務を積み重ねることではありません。うまくいかなかったことを、次に少しだけ変えていくことです。夜勤のたびに1つだけ改善できれば、それは立派な成長です。
まとめ:情報収集は「患者さんを守る行動」に変えていこう
夜勤の情報収集は、カルテを読む時間ではなく、患者さんを守るための準備です。前回は、何を見ればいいのかを中心にお話ししました。第二弾の今回は、集めた情報を夜勤中にどう使うかを整理しました。
- 情報は「今すぐ動くこと」「観察の優先順位」「朝の申し送り」に分ける
- 夜勤開始時に、今夜の危ない順をざっくり決める
- メモは長く書かず、夜勤中に数秒で見返せる形にする
- 巡視は寝ているか確認するだけでなく、変化を探す時間にする
- 予定が崩れたらメモに戻り、時間業務と危険度を確認する
- 先輩への相談は、事実・心配・お願いをセットで伝える
- 朝の申し送りは、出来事・対応・結果・引き継ぎでまとめる
- 夜勤明けの振り返りは30秒で十分。自分を責めすぎない
新人ナースさんにとって、夜勤は怖いものです。患者さんの人数は多いし、先輩は忙しそうだし、日勤とは違う緊張があります。でも、ひとつずつ型を持てば、少しずつ見える景色が変わります。
今日から全部できなくて大丈夫です。まずは、夜勤前のメモに「今夜見るポイント」を一行足してみる。優先度が高い患者さんに印をつけてみる。巡視の時に「この人は何が起きやすいんだっけ」と一度だけ考えてみる。その小さな一歩で十分です。

情報収集って、カルテを読むだけじゃなくて、夜勤中の自分を助ける準備なんだね。少しイメージできてきた!

その通り。情報収集は、新人さんを責めるためのものじゃなくて、患者さんと自分を守るためのもの。焦らず、ひとつずつ自分の型を作っていこうね。
以上、しーちゃんでした。夜勤前のあなたが、少しでも落ち着いて病棟に向かえますように。そして夜勤明けのあなたが、「今日はここまでできた」とひとつでも自分を認められますように。
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