「あんた誰?」「警察呼ぶわよ!」夜勤の認知症・せん妄ケア、新人ナースのためのリアル対応ガイド

「あんた誰?」「警察呼ぶわよ!」夜勤の認知症・せん妄ケア、新人ナースのためのリアル対応ガイド これで悩み解決!新人看護師向けに書きました

今日紹介する夜勤中の患者さんの言葉は、前回とはちょっと違う。認知症や夜間せん妄が強い患者さんから、実際に言われた言葉たちだ。

「あんた誰?」「警察呼ぶわよ!」「おとうさーん!」「ここは駅でしょ!」…読んだだけでドキッとした人もいるかもしれない。でもこれ、夜勤ではよくある光景なんだ。

しーちゃん

しーちゃん

最初にこういう患者さんに当たったとき、わたし正直めちゃくちゃ怖かった。でも、ひとつひとつに向き合い方があるんだよ。

みらい

みらい

「警察呼ぶ」なんて言われたら、どうしたらいいんですか…?

しーちゃん

しーちゃん

焦らなくていい。むしろ「この人は今どんな気持ちで言ってるんだろう」って思えるようになれば、全然違う対応ができるようになるから。

  1. ① 拒絶・警戒の言葉:「あんた誰?」「あんたって何するのよ!」「触らないでよ」
    1. なぜこの言葉が出るのか
  2. ② 被害妄想・恐怖の言葉:「警察呼ぶわよ!」「助けて〜!」「警察呼んでちょうだい!」
    1. この言葉の背景にあるもの
  3. ③ 亡き家族を呼ぶ:「おとうさーん!」「お父さんに相談しに行かないと」「どこにいるのかしら」
    1. 「お父さんを呼ぶ」の意味
  4. ④ 場所の見当識障害:「助けて〜、ここは駅でしょ」「ここは市役所でしょ」「病院?そんなことあるわけないでしょ。病院連れてって!!」
    1. なぜ「病院にいない」と感じるのか
  5. ⑤ 食事・服薬拒否:「ご飯なんて食べない」「薬なんて飲めないよわ!」
    1. 拒否の背景にあるもの
  6. ⑥ 怒りの爆発:「寒いって言ってるだろ!」「なんだ、どうなってるんだ、なんだかなぁ!!」
    1. 怒りの言葉への基本姿勢
  7. ⑦ 身体症状の訴え:「頭が痛いです」
    1. 夜間の頭痛を軽視しない
  8. ⑧ 穏やかな瞬間:「うん、わかった」
  9. 認知症・夜間せん妄ケアで新人ナースが知っておきたい心構え
    1. ①「傷つかなくていい」を自分に言い聞かせる
    2. ②「否定しない」が最大の武器
    3. ③ 記録とチーム連携が命綱
    4. ④ 自分のメンタルも守る
    5. 🛌 看護師の疲れた体に。特許取得の整体枕で熟睡できる眠りを
    6. 💼 転職を考えているナースへ。MCナースネットで理想の職場を探そう
    7. ✨ 看護師のスキルアップに。スキンケアアドバイザー資格を自宅で取得
    8. 📚 しーちゃんのおすすめ看護本・国試参考書【Amazon】

① 拒絶・警戒の言葉:「あんた誰?」「あんたって何するのよ!」「触らないでよ」

夜勤開始直後や、ラウンドで部屋に入った瞬間に言われることが多い。「あんた誰?」という言葉に傷ついてしまう新人さんは多いけど、これは「あなたのことが嫌いです」じゃない。

なぜこの言葉が出るのか

認知症の患者さんは、短期記憶が失われていることが多い。何度会っていても、「このナースは昨日も来た人だ」という記憶が残らない。だから毎回「初対面」になってしまう。しかも夜中という時間帯・暗い環境・少ない職員数の中で、見知らぬ人が近づいてくる──これは本人からすると恐怖以外のなにものでもない。

対応のポイント

①ゆっくり近づき、まず笑顔と穏やかな声で自己紹介する ②「〇〇さん、こんにちは。夜のナースのしーちゃんです」と毎回名乗る ③急に触れず、「触りますよ」と必ず声かけしてから ④威圧的な態度・急ぎ足・上から見下ろす姿勢はNG

「触らないでよ」はケア拒否のサイン。無理に続けると恐怖感が強まって次からもっと拒否が強くなる。いったん引いて「そうですよね、急にすみません」と謝り、タイミングを変えて再アプローチしよう。

しーちゃん

しーちゃん

「あんた誰?」って言われても、「〇〇さんのナースのしーちゃんです」って笑顔で答え続けるだけ。100回言われたら100回答える。それが夜間認知症ケアの基本だよ。

みらい

みらい

毎回自己紹介…それだけで全然違うんですね。

② 被害妄想・恐怖の言葉:「警察呼ぶわよ!」「助けて〜!」「警察呼んでちょうだい!」

新人のころに「警察呼ぶ!」「助けて!」と大声で叫ばれると、本当にパニックになるよね。「何か自分がすごく悪いことをしてしまったのか」って思ってしまう。

この言葉の背景にあるもの

「警察を呼ぶ」という発言は、患者さんが「自分は今、悪い人たちに囲まれている」と感じているサイン。病院というのは、認知症の患者さんにとって非日常で不安な場所。「知らない人が何かしてくる」という恐怖感から、助けを求める言葉として出てくる。

してはいけない対応

✗「何もしてませんよ!」と反論する → 信頼関係が壊れる
✗「警察なんて呼べませんよ」と言う → 否定されると怒りが増す
✗ 大声で制止しようとする → 恐怖が増大する
✗「落ち着いてください」と言い続ける → 逆効果になることが多い

正しい対応のポイント

①「そうですよね、怖かったですね」とまず共感する ②声のトーンを落として、ゆっくり話しかける ③安全な距離を保ちながら、そばにいる ④「大丈夫ですよ、私はあなたを守るためにいます」と繰り返す

叫んでいる間は否定も肯定もせず、嵐が過ぎるのを待ちながらそばにいることが大事。興奮が落ち着いてきたタイミングで「どうしましたか?」と話しかけると、コミュニケーションが取れることが多いよ。

③ 亡き家族を呼ぶ:「おとうさーん!」「お父さんに相談しに行かないと」「どこにいるのかしら」

夜中に「おとうさーん!」と呼ぶ声が聞こえると、最初は何が起きているのか分からなくて焦る。でもこれ、認知症ケアでとてもよく見られる場面なんだ。

「お父さんを呼ぶ」の意味

認知症が進むと、記憶は古いものほど残りやすい。子どものころの記憶・若いころの記憶が鮮明に蘇り、今が何年なのか、自分が何歳なのかという感覚が失われていく。「お父さん」を呼ぶということは、その人の記憶の中では「お父さんがまだ生きていた時代」に戻っている可能性がある。

「別の患者さんの男性の声が聞こえると、お父さんこっちきて」という発言も、まさにそれ。男性の声=お父さん、という感覚になっているんだ。

バリデーション療法という考え方

認知症ケアには「バリデーション療法」という手法がある。患者さんの現実・感情を否定せず、共感的に受け入れるアプローチ。「お父さんはいません」と否定するのではなく、「お父さんのこと、心配なんですね」と感情に寄り添うことで安心感を与える。

「お父さんを探しに行く」と立ち上がろうとしたときは、転倒リスクが最も高い瞬間。「一緒に探しましょうか」と言いながら安全に誘導して、歩きながら気持ちをほぐしていくのがひとつの方法。ただし徘徊リスクがある患者さんの場合は離床センサーなどの確認も忘れずに。

しーちゃん

しーちゃん

「お父さんはどこにいるの?」って聞かれて、「もうお父さんはいませんよ」って答えてしまうと、患者さんはその瞬間に初めて「お父さんが亡くなった」と感じることになる。それって何度も何度もお父さんを失う体験をさせてしまってるんだよね。

みらい

みらい

そんな風に考えたことなかったです…。否定しないことが大事なんですね。

④ 場所の見当識障害:「助けて〜、ここは駅でしょ」「ここは市役所でしょ」「病院?そんなことあるわけないでしょ。病院連れてって!!」

「ここは病院です」と言っても「そんなことない!」と強く否定される。これは夜間せん妄・認知症の場所見当識障害の典型的なパターン。

なぜ「病院にいない」と感じるのか

認知症やせん妄状態では、脳の情報処理が正常に機能しなくなる。見慣れない天井・見知らぬ人たち・機械の音・独特のにおい……病院という環境は、認知機能が低下した状態では「ここは病院」と認識できないことがある。「駅」「市役所」という言葉が出るのは、その患者さんの生活史や記憶の中にある「人が集まる場所」のイメージが投影されているから。

対応のコツ

①「病院じゃないですよ」と否定しない ②「そうですよね、慣れない場所で不安ですよね」と共感する ③「ここは安全ですよ、ゆっくり休める場所ですよ」と伝える ④繰り返し「病院連れてって!」と言う場合も、「連れていきますね」と話を合わせてから安全な方向へ誘導することも有効

「病院連れてって!!(入院中なのに)」という発言は笑えない状況のようで、実はそこに看護のヒントがある。「この患者さんはどんな場所なら安心できるんだろう?」と考えることが大事。ゆっくり話しかけながら安心できる空間を作ることがケアになる。

しーちゃん

しーちゃん

「ここは駅でしょ!」って言い張る患者さんに「いや病院ですよ!」って言い続けたって、絶対平行線。むしろ「駅みたいに人が来る場所ですね、安心ですね」くらいの感じで話を合わせるほうがずっとうまくいくよ。

⑤ 食事・服薬拒否:「ご飯なんて食べない」「薬なんて飲めないよわ!」

認知症・せん妄状態の患者さんが食事や薬を強く拒否することはよくある。「食べてもらわないと困る」「薬は必要だから飲まないと」と焦ってしまいがちだけど、無理に進めるのは逆効果になることが多い。

拒否の背景にあるもの

  • 「この人は信頼できない」という警戒感がある
  • 食べ物・薬だと認識できていない可能性がある
  • 飲み込む力が落ちていて、食べること自体が怖い
  • 過去に嫌な体験があって「食べる=怖い」になっている

食事拒否への対応

①まず信頼関係づくりを優先する(話しかける・そばにいる) ②「食べなくていいですよ」と一度引き、5〜10分後に再アプローチ ③スプーンを手渡して自分でやってもらう(「させられている」感を減らす) ④「少しだけ食べてみましょうか」と一口から ⑤食事の時間帯・環境・声かけ方法を変えてみる

服薬拒否への対応

①「薬ですよ」という言葉を変えてみる(「元気になるお薬」など) ②形状を変えられないか主治医に相談(粉砕可能な薬か確認) ③水分と一緒に一錠ずつ、タイミングを見計らって ④どうしても飲めない場合は無理をせず記録・報告を

大切なのは「この拒否は今日だけのもの」じゃないことも多いということ。前日のケアの積み重ねが信頼関係を作り、「この人の言うことなら聞いてみようか」という気持ちになってもらえることがある。夜勤のナースが変わっても、情報を引き継いでチームで対応することが大事。

しーちゃん

しーちゃん

強引に食べさせようとして、その後ずっと警戒されるよりも、今日は食べてもらえなかったとしても「そっかー、じゃあ後でまた来るね」って引ける勇気が必要なこともある。

みらい

みらい

拒否されると焦っちゃいそうだけど、引くことも大事なんですね。

⑥ 怒りの爆発:「寒いって言ってるだろ!」「なんだ、どうなってるんだ、なんだかなぁ!!」

感情的な爆発ともいえる怒りの言葉。初めて経験すると「何か自分が悪いことをした?」って思ってしまいそうだけど、これは本人の不安・不快・混乱が言葉になったもの。

怒りの言葉への基本姿勢

「なんだかなぁ!!」という言葉に代表されるように、認知症やせん妄状態では自分の気持ちをうまく言語化できなくなることがある。「寒い」という訴えがあるのに対処してもらえなかった、または自分がなぜここにいるのかわからない不安……そういった積み重ねが爆発する。

怒りの言葉を受け取るとき

①まず「そうですね、寒いですよね」と訴えを受け止める ②「どうすれば楽になりますか?」と本人に聞く ③怒りに怒りで返さない、言い訳しない ④安全を確認しながら、怒りが収まるまでそばにいる ⑤怒りの言葉を記録に残し、パターンを把握する(特定の時間帯・ケアのタイミングで出やすいなど)

「寒いって言ってるだろ!」という強い言葉の裏には、「ちゃんと聞いてほしい」という訴えがある。温度対応だけでなく、「ちゃんと話を聞いていますよ」という態度を見せることで、怒りが落ち着くことがある。

⑦ 身体症状の訴え:「頭が痛いです」

興奮・混乱が続く中で、ふと「頭が痛いです」と穏やかに訴えてくる瞬間がある。こういった身体症状の訴えは、興奮状態の中でも見逃してはいけない。

夜間の頭痛を軽視しない

  • 脳卒中(くも膜下出血・脳出血)の初期症状の可能性
  • 血圧上昇による頭痛(興奮・不安で血圧が上がっていることがある)
  • 睡眠不足・疲労による緊張性頭痛
  • せん妄そのものによる不快感が頭痛として表れている

頭痛の訴えへの対応フロー

①「どのくらい痛いですか?」と場所・強さ・いつから始まったかを確認 ②バイタルサイン測定(特に血圧・体温・SpO2) ③「突然バットで殴られたような頭痛」であればすぐDr報告 ④既往歴・内服薬を確認(抗凝固薬など) ⑤安静を促し、経過観察と記録を丁寧に

せん妄で興奮している患者さんが「頭痛」という言葉を使えているということは、そこに意識がある証拠。むしろ冷静に話しかけるきっかけになることもある。「頭が痛いんですね、診てみますね」とケアのチャンスにつなごう。

⑧ 穏やかな瞬間:「うん、わかった」

嵐のような発言が続く夜勤の中で、ふっと「うん、わかった」と穏やかに答えてくれる瞬間がある。

この言葉に、わたしはいつも救われる。

「わかった」という一言が出るとき、患者さんの中で何かが落ち着いた瞬間がある。警戒が少しだけゆるんだとき。話が通じた、と感じてくれたとき。

しーちゃん

しーちゃん

この「うん、わかった」を引き出すために、夜勤中ずっと丁寧に関わり続けてるって言っても過言じゃないくらい。この言葉をもらえるとき、「あ、今日は伝わったな」って思う。

みらい

みらい

それ、すごく大事な言葉ですね。

しーちゃん

しーちゃん

認知症やせん妄の患者さんのケアって、「できた・できない」じゃなくて「今日少しだけ安心できた」を積み重ねていく仕事なんだよ。

認知症・夜間せん妄ケアで新人ナースが知っておきたい心構え

①「傷つかなくていい」を自分に言い聞かせる

「あんた誰?」「触らないでよ」「警察呼ぶ!」──これは全部、あなたへの攻撃じゃない。認知症・せん妄状態の患者さんが、恐怖と混乱の中で発している言葉。あなたが悪いことをしたわけじゃない。傷つく必要はない。

②「否定しない」が最大の武器

「お父さんはいません」「ここは病院です」「警察なんて呼べません」──否定する言葉はすべてNG。認知症・せん妄の患者さんの世界を否定すると、信頼が失われ、ケアが進まなくなる。まず感情を受け止めて、共感から入ること。これだけで夜勤が変わる。

③ 記録とチーム連携が命綱

夜勤は少ないスタッフで多くの患者さんを担当する。認知症・せん妄の患者さんへの対応で「こうしたら落ち着いた」「この言葉は逆効果だった」という情報は、次のスタッフに必ず引き継ごう。夜勤の記録が翌日のケアに直結する。

④ 自分のメンタルも守る

暴言・拒否・叫び声が続く夜勤は、精神的に消耗する。「私、看護師向いてないんじゃ…」って思ってしまう新人さんも多い。でも、向いてない・向いてるの問題じゃなくて、対応スキルの問題。先輩や同僚に「今日は大変だった」と話せる環境を大切にしてね。

まとめ:夜勤の認知症・せん妄ケアで覚えておくこと

①自己紹介は毎回する ②否定しない・感情に共感する ③距離を取りながらそばにいる ④「お父さんを呼ぶ」は時間が逆行しているサイン ⑤「病院連れてって」にも共感から入る ⑥食事・服薬拒否は引く勇気も必要 ⑦怒りの言葉の裏には不安がある ⑧「頭が痛い」は必ずアセスメント ⑨「うん、わかった」の一言を大切にする

しーちゃん

しーちゃん

この患者さんたちの言葉、全部怖かったし大変だったけど、全部に向き合ってきたよ。夜勤明けに「あの患者さん、今日少し穏やかだったな」って思える瞬間が、看護師を続ける理由のひとつになってる。

みらい

みらい

しーちゃん、すごいな…。わたしも夜勤、頑張れる気がしてきました。

しーちゃん

しーちゃん

一緒に頑張ろうね!最初は誰でも怖いから。でも経験を積むたびに、「この発言にはこういう意味がある」ってわかってくる。そのたびに看護師として一段階上がれるよ。

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