朝ドラ「風、薫る」第3話をナースが解説!避病院・タッチングケア・看護倫理【しーちゃんの看護師目線】

朝ドラ「風、薫る」第3話をナースが解説!避病院・タッチングケア・看護倫理【しーちゃんの看護師目線】 フィジカルアセスメント

こんにちは、現役ナースのしーちゃんです😊 NHK朝ドラ「風、薫る」、みなさん毎朝楽しんでいますか?私は毎回、看護師目線でドキドキしながら観ています!

※この記事の最後に、第3話を英語で10行にまとめた「English Summary」も入れています。英語学習や内容の振り返りにも使ってみてください。

しーちゃん
しーちゃん

今回は第3話「泣いてませんよ」を、現役ナースの視点からたっぷり解説します!この回、医療・看護に関わるシーンが本当に多くて、見ながら胸が熱くなりました。感染症の時代を生きた人々の葛藤と、「正しいこととは何か」というテーマが深く刺さりましたよ。

第3話のキーワードは「触れない手」。感染症の恐怖から大切な人に手を伸ばせなかったりんちゃんの後悔と、父・信右衛門の「正しいとは難しい」という言葉が、看護師として生きる私にも深く響きました。今回はその場面を中心に、看護の視点から深掘りしていきます。

第3話「泣いてませんよ」のあらすじ:触れない手と、正しさの難しさ

第3話の舞台は、引き続き明治18年(1885年)の栃木県の農村と東京。コレラ(コロリ)の脅威が村に広がる中、りんちゃんが経験するのは、感染症への恐怖と「助けたい」という気持ちのせめぎ合いです。

しーちゃん
しーちゃん

虎太郎の母・栄さんがコレラに感染し、「あそこへ行ったら二度と帰れない」と言われる避病院(ひびょういん)に運ばれてしまいます。心配したりんちゃんが病院を訪ねるのですが、感染防止のために早く帰るよう言われてしまう。そして虎太郎自身も「うつったらいけないから」と、りんちゃんを遠ざけてしまいます。

りんちゃんは虎太郎に手を握りたかった。でも、感染への恐怖がそれを阻んだ。この「触れたかったのに触れられなかった」という後悔は、りんちゃんの心に深く刻まれます。

みらいちゃん
みらいちゃん

感染症のせいで、大切な人に寄り添えないって、すごく辛いね…。

しーちゃん
しーちゃん

本当に。その後、父・信右衛門がりんちゃんに論語を引いて語りかけます。「正しいというのは難しい」という言葉が、りんちゃんの心をじんわりと癒していきます。感染の恐怖から手を引いてしまったことは責められない、でもそれを後悔する気持ちも正しい——そんなメッセージを感じました。

東京では、美津(りんの母)が信勝(親戚)を頼って安の縁談を進めていました。家族のために母の形見の着物と帯を手放す決断をする美津の姿も印象的でした。そして直美は、教会の牧師・吉江善作から伝道師への道を勧められますが、「自分にはできない」と断ります。

そして第3話のクライマックス——薙刀の稽古をしていたりんちゃんの目の前で、父・信右衛門が突然倒れてしまいます。

みらいちゃん
みらいちゃん

お父さんが倒れた!?まさかコレラ!?

しーちゃん
しーちゃん

視聴者みんな「えっ!?」となったシーンですよね。次回以降が気になりすぎます…!さて、ここからは看護師目線でこの回の医療・看護的なポイントをしっかり解説していきますね。

「避病院(ひびょういん)」とは?——明治時代の感染症隔離施設

ドラマに登場する「避病院」。「あそこへ行ったら二度と帰れない」と恐れられていた施設ですが、現代の私たちからすると「感染症病棟」の原型にあたります。

しーちゃん
しーちゃん

避病院は、明治政府がコレラなどの感染症拡大を防ぐために設けた隔離専用の施設です。感染症予防規則(1880年制定)に基づいて各地に設置されましたが、当時は施設の設備も医療体制もとても粗末なもので、患者が入院してもほとんどケアを受けられないまま亡くなることが多かったといわれています。

【避病院の概要】

設置根拠:感染症予防規則(明治13年・1880年制定)

目的:コレラ・赤痢・腸チフスなどの感染症患者を隔離し、感染拡大を防ぐ

実態:設備が粗末で、専門的な看護・医療を受けられる環境ではなかった

名称の変遷:避病院→隔離病舎(明治30年代)→伝染病院(大正期)→感染症病棟(現代)

現代の感染症病棟:専門的な感染対策と看護が行われる安全な環境

「あそこへ行ったら二度と帰れない」という恐怖感は、当時の避病院が決して患者を回復させる場所ではなく、「隔離して死を待つ場所」としての側面が強かったことを示しています。

みらいちゃん
みらいちゃん

現代の感染症病棟とは全然違うんだね。今は治療して回復させる場所なのに。

しーちゃん
しーちゃん

まったく違います!現代の感染症病棟には、感染管理認定看護師などの専門家がいて、患者さんが安全・安心に療養できる環境が整っています。明治時代の避病院から130年あまりで、これほど医療が進歩したんだということを、このドラマを通して感じてほしいです。

実際に、明治18年ごろに設置されていた避病院では、患者は家族と引き離されたまま、粗末な木造の施設に押し込まれ、十分な水分補給すら受けられないケースが多かったといわれています。コレラの治療における最重要ポイントである「水分・電解質の補充」が行われないのですから、死亡率が極めて高かったのは当然のことでした。

「触れない手」の葛藤——感染症と「タッチングケア」の意味

第3話で最も印象的なシーンのひとつが、りんちゃんが虎太郎に手を握りたかったのに、感染への恐怖から触れられなかったという場面です。

しーちゃん
しーちゃん

看護師として、この場面は本当に胸に刺さります。「触れたい」「寄り添いたい」という気持ちと、「感染するかもしれない」という恐怖のせめぎ合い——感染症の現場で働く看護師なら、誰もが経験する葛藤です。

タッチングケアとは?

看護の世界に「タッチングケア」という概念があります。手を握る、背中をさする、肩に触れるなど、意図的な身体接触によって患者さんの心理的な安心感・安らぎを引き出すケアのことです。

【タッチングケアの効果(研究より)】

・不安・恐怖感の軽減(オキシトシンの分泌促進)

・孤独感の緩和(「自分は見捨てられていない」という安心感)

・疼痛の緩和(ゲートコントロール理論)

・血圧・心拍数の安定

・コミュニケーションが難しい患者さんへの意思疎通手段

しーちゃん
しーちゃん

感染症の患者さんは「触れてもらえない」「避けられている」という孤独感を強く感じやすいんです。防護具をつけた看護師が機械的に処置するだけでは、患者さんの心が置き去りになってしまう。だから感染対策を徹底しながらも、できる範囲でタッチングを行うことがとても大切なんです。

みらいちゃん
みらいちゃん

手袋越しでも、触れてもらうことって意味があるの?

しーちゃん
しーちゃん

あります!研究では、手袋越しのタッチでも不安軽減効果があることが示されています。大切なのは「あなたのそばにいる」という姿勢を伝えること。りんちゃんが虎太郎に手を伸ばせなかった後悔——それは感染症の前でも「人と人がつながりたい」という本能的な欲求があることを教えてくれています。

明治時代のりんちゃんには、感染対策の知識もなければ手袋もありませんでした。だから「触れる=命の危険」というシビアな現実があった。でも現代の看護師は、適切な防護具を使いながら患者さんに触れ、寄り添うことができます。それこそが医療の進歩が看護師に与えてくれた「ギフト」だと私は思っています。

「正しいというのは難しい」——論語と看護倫理の共鳴

父・信右衛門がりんちゃんに語った言葉——「正しいというのは難しい」。これは論語に基づいた言葉ですが、看護師として働く私にも、深く刺さる言葉でした。

しーちゃん
しーちゃん

看護の現場でも「何が正しいのか」に悩む場面はたくさんあります。感染症の患者さんに接触するリスクを取って寄り添うのが正しいのか、自分の安全を守るために距離を置くのが正しいのか。そのどちらもが「正しさ」を持っているから、難しい。

【看護師が「正しさ」に迷う場面の例】

・感染リスクがある患者さんへの直接的なタッチングケアをすべきか

・家族への病状説明の範囲(どこまで伝えるか)

・患者さんの意思と医師の指示が食い違うとき

・余命告知をするかしないか(本人の希望と家族の希望が違うとき)

・夜勤中に一人で抱えるには大きすぎる問題に直面したとき

看護の世界には「看護倫理」という考え方があり、「善行(患者のために行動する)」「無危害(害を与えない)」「自律尊重(患者の意思を尊重する)」「公正(公平に接する)」という4つの原則が広く知られています。

しーちゃん
しーちゃん

でも現場では、これらの原則が互いにぶつかり合うことがあるんです。患者さんのために何かをしようとすると、それが別の患者さんへのケア時間を削ることになったり。「正しさ」って一つじゃないから、いつも考え続けなきゃいけない。

みらいちゃん
みらいちゃん

看護師さんって、毎日そんなことを考えながら働いているんだね。すごいな…。

しーちゃん
しーちゃん

だから論語の「過ちに気づきながら改めないことが真の過ち」という信右衛門の言葉、すごく好きです。完璧にできなくても、後悔して、考えて、次に活かすこと——それが大切だということ。りんちゃんの「触れられなかった後悔」もきっと、彼女を成長させる糧になっていくはずです。

信右衛門が突然倒れた!——急変時に知っておきたいこと

第3話のラストシーン、薙刀の稽古中に父・信右衛門が突然倒れてしまいます。このような「突然の発症・急変」は、感染症でも他の疾患でも起こりうる緊急事態です。

しーちゃん
しーちゃん

突然誰かが倒れたとき、私たちはどう対応すればいいのか。看護師として、基本的な知識をお伝えしますね。

【身近な人が突然倒れたときの基本対応(BLS:一次救命処置)】

① まず安全確認:自分と周囲の安全を確認する

② 意識確認:肩を叩いて「大丈夫ですか?」と声かけ

③ 反応なし→助けを呼ぶ:「誰か来てください!119番を!AEDを!」

④ 呼吸確認:胸の上がり下がりを10秒以内で確認

⑤ 呼吸なし or 死戦期呼吸→胸骨圧迫(CPR)開始

⑥ AEDが来たら速やかに装着・使用

⑦ 救急隊が来るまで絶えず継続する

明治時代にはCPRもAEDも119番も存在しませんでした。当時のりんちゃんができることは、父を安全な場所に寝かせ、医者を呼びに行くことくらいだったでしょう。それを思うと、現代に生きる私たちが一次救命処置を学べる環境にいることの大切さを実感します。

しーちゃん
しーちゃん

一次救命処置(CPR・AED)は、消防署や日本赤十字社が講習会を開いています。看護師でなくても学べるものなので、ぜひ一度受講してみてください!いざというときに、大切な人の命を救える可能性があります。

みらいちゃん
みらいちゃん

私も受けてみようかな、CPR講習!

しーちゃん
しーちゃん

ぜひ!1〜2時間の短い講習でも基本を学べますよ。「いざというとき何もできなかった」という後悔をしないために、備えておくことって大切ですよね。りんちゃんが「触れなかったことへの後悔」を経験したように、私たちも「何もできなかった後悔」を少しでも減らせるように。

日本初のトレインドナース・大関和——「風、薫る」の時代を生きた看護の先駆者

ここで、ドラマの時代背景と深く関わる実在の人物をご紹介します。「大関和(おおぜきちか)」という女性です。

しーちゃん
しーちゃん

大関和は1858年(安政5年)生まれ、日本で最初に正式な訓練を受けた看護師(トレインドナース)のひとりとされています。りんちゃんたちが生きている明治18年当時、まさに日本の看護教育が産声をあげた時代に活躍した人物です。

【大関和(1858〜1940年)の主な功績】

1886年(明治19年):京都看病婦学校に入学、看護を本格的に学ぶ

「精神・言行・学技」を看護教育の三本柱として重視

『実地看護法』など複数の看護教科書を著し、後進の育成に尽力

感染症患者の看護にも積極的に取り組み、避病院での看護活動を行う

患者の尊厳を守ることを看護の根本として訴え続けた

大関和が活躍した時代は、日本の看護師が社会的にも経済的にも非常に低い地位に置かれていた時代です。それでも彼女は「看護とは専門的な知識と技術を持って、患者の命と尊厳を守るものだ」という信念を持ち、看護の専門職化に尽力しました。

しーちゃん
しーちゃん

大関和の言葉で印象的なのが「看護は技術だけではなく、精神が大切だ」という考え方です。感染症の患者さんが差別・排除されていた時代に、「患者を一人の人間として尊重して看護する」という姿勢を貫いたんです。まさに現代の看護倫理の先駆けといえます。

みらいちゃん
みらいちゃん

りんちゃんもいつか、そんな看護師になっていくのかな?

しーちゃん
しーちゃん

きっとそうだと思います!大関和のような先人たちが道を切り拓いてくれたからこそ、今の看護師がいる。りんちゃんの物語は、そんな日本の看護の歴史そのものでもあるんですよね。

感染症病棟での面会制限——家族の苦しみを支えるのも看護の仕事

ドラマでは、虎太郎の母・栄が避病院に連れて行かれ、家族が会うことも難しい状況が描かれています。「面会できない」という状況は、患者さんだけでなく家族にとっても大きな苦痛です。

しーちゃん
しーちゃん

現代でも感染症の種類によっては面会が制限される場合があります。コロナ禍では多くの病院で面会禁止措置が取られ、患者さんが家族と会えないまま亡くなるというケースが問題になりました。これは明治時代の避病院と同じ「孤独な隔離」の問題です。

【現代の感染症病棟における家族支援のポイント】

・面会制限中でもビデオ通話などを活用した「つながり」を支援する

・家族への病状説明を丁寧に行い、不安を軽減する

・「会えない罪悪感」を抱える家族への心理的サポート

・退院後の生活に向けた家族への指導・相談対応

・グリーフケア(患者が亡くなった場合の家族の悲嘆への支援)

面会できない家族の「せめて声だけでも届けたい」という思い。その気持ちに応えることも、看護師の大切な役割です。明治時代のりんちゃんには届けられなかった「つながり」を、現代の看護師は少しでも作り出す努力をしています。

まとめ:第3話「泣いてませんよ」から学ぶ、看護の本質

今回は朝ドラ「風、薫る」第3話を、現役ナース・しーちゃんの視点から解説しました。

✅ 避病院は明治時代の感染症隔離施設——現代の感染症病棟の原型

✅ 「触れない手」の葛藤はタッチングケアの重要性を示している

✅ 手袋越しのタッチでも不安軽減効果あり——感染対策と寄り添いは両立できる

✅ 「正しいとは難しい」は看護倫理の核心——悩みながら考え続けることが大切

✅ 大関和は日本初のトレインドナース——感染症患者の尊厳を守る看護の先駆者

✅ 面会制限中の家族支援も看護師の重要な役割

✅ 一次救命処置(CPR・AED)は誰でも学べる大切な知識

しーちゃん
しーちゃん

第3話「泣いてませんよ」というタイトル——りんちゃんは涙をこらえながら、それでも前を向こうとしている。そのけなげさが、看護師として働く私の心にも響きます。泣きたいけど泣けない場面、感染症の現場ではたくさんあります。それでも患者さんのそばにいるために、前を向く。それが看護師の仕事でもあるから。

次回第4話ではどんな展開が待っているのでしょうか。信右衛門の容態、虎太郎の母・栄の行方、そして直美の決断……目が離せません!次回もナース目線で一緒に楽しみましょう😊

朝ドラ「風、薫る」は毎週月曜〜土曜、NHK総合で朝8時から放送中です。見逃した方はNHKプラスでも視聴できますよ。

このブログは現役ナース・しーちゃんが、医療ドラマや健康情報を看護師目線でわかりやすく解説しています。「看護師に興味がある」「医療のことをもっと知りたい」という方、ぜひブックマークして読んでいってくださいね!

English Summary:第3話を英語で10行まとめ

英語学習や内容の振り返りに使えるように、第3話のポイントをやさしい英語で10行にまとめました。

  1. In Episode 3, the story highlights isolation hospitals, touch care, and nursing ethics.
  2. Rin and the people around her face a new lesson about nursing and life.
  3. The episode shows that nursing is not only about skills, but also about seeing people clearly.
  4. Patients and families have their own fears, backgrounds, and reasons for their choices.
  5. Nurses need knowledge, observation, communication, and compassion to support them safely.
  6. Small words, actions, and habits can change the way care is received.
  7. From a nursing point of view, this episode connects historical scenes with modern care.
  8. It also reminds new nurses that confusion and hesitation can become important learning moments.
  9. Shii-chan’s view is that good nursing begins with thinking about the person, not only the problem.
  10. This episode helps us learn how kindness can become safer and more thoughtful care.

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