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はじめにお読みください
この記事は、私が実際にミッドラインカテーテルを入れた経験と、その個人的な感想をまとめたものです。特定の製品をすすめるものではなく、メーカーから報酬などは受け取っていません。カテーテルの選び方・入れ方・留置期間・投与できる薬は、必ず製品の添付文書、施設の手順、医師の指示に従ってください。
「腕に入っているこのカテーテル、PICCと何が違うの?」
「ミッドラインから、どの点滴を流していいのか分からない」
「エコー下穿刺、どのくらいできれば入れられるんだろう」
——見た目はPICCとそっくりでも、ミッドラインは「長い末梢のカテーテル」です。ここを押さえるだけで、病棟での扱い方がぐっと分かりやすくなります。
今回は、BD社の「パワーGlide Pro(パワーグライド プロ)」を実際に入れてみた感想と、ミッドラインを使うときに知っておいてほしいことをお話しします。

しーちゃん、受け持ちの患者さんの腕に、PICCみたいなカテーテルが入っていたんです。
でも記録には「ミッドライン」って書いてあって……。

最近、臨床でも見かけるようになったよね。
実は私も、この前BD社のパワーグライド プロを入れてみたの。

えっ、しーちゃんが入れたんですか!?

うん、エコーを見ながら入れたよ。
今日は、ミッドラインってどんなカテーテルなのか、入れてみた感想と、病棟で使うときの注意を一緒に見ていこう。
📌 この記事でわかること
- ミッドラインカテーテルとは何か(PICC・ふつうの末梢との違い)
- ミッドラインのメリット(何度も刺さなくていい)
- パワーGlide Proを入れてみた感想(ガイドワイヤー一体型)
- うまく入れるカギになる、エコー下穿刺
- 病棟で使うときの注意(TPNなどは流さない)
- 新人さんにも知っておいてほしい理由
①ミッドラインカテーテルとは?|PICCを短くしたような「長い末梢」
ミッドラインカテーテルは、上腕の静脈から入れる、ふつうの末梢カテーテルより長い管です。
イメージしやすいのは、PICC(腕から入れて、先端を心臓の近くの太い静脈=中心静脈まで進めるカテーテル)です。ミッドラインは、そのPICCを短くしたようなもの。先端は腕の静脈にとどまり、中心静脈までは届きません。
だから、見た目はPICCと似ていても、ミッドラインは「末梢」のカテーテルです。製品の一般的名称も「末梢血管用血管内カテーテル」になっています。
ふつうの末梢ルートとの大きな違いは、入れ方です。腕の深いところにある血管に入れるので、エコーで血管を見ながら刺す必要があります。
| ふつうの末梢 | ミッドライン | PICC | |
|---|---|---|---|
| 先端の位置 | 腕の静脈 | 腕の静脈(長い) | 中心静脈 |
| 分類 | 末梢 | 末梢 | 中心静脈 |
| 入れ方 | 見て・触って刺すことが多い | エコーで深い血管に入れる | エコーで入れ、先端位置を確認する |
| TPNなど濃い点滴 | × | × | ○ |

記録や申し送りで「ミッドライン」と聞いたら、頭の中で「長い末梢」と言い換えてみて。
それだけで、何を流していいかの判断がずいぶん楽になるよ。
②ミッドラインのメリット|患者さんを何度も刺さなくていい
ふつうの末梢カテーテルは、漏れたり、詰まったり、血管が炎症を起こしたりして、予定より早く入れ直しになることが少なくありません。海外の報告では、予定外に抜くことになる割合は約40〜50%とされています。
これまでの末梢カテーテルは、1週間くらいで入れ直すことが多かったと思います。ミッドラインは、2週間くらい使える可能性があります。
国内でも、2025年に改訂された『輸液カテーテル管理の実践基準』で、6日〜14日未満の、血管への刺激が少ない薬を投与するときの選択肢として、ミッドラインが加わりました。
ミッドラインのメリット
- 入れ直しが減る:患者さんが何度も刺されずにすむ
- 長く使える可能性:病棟の看護師も、安心して点滴を続けられる
- 製品によっては採血ができる:採血のたびに刺さなくてよくなる場合がある
- 製品によってはダブル(ルートが2本):1本のカテーテルから2つの薬を流せる
※採血ができるか、何日使えるかは、製品の添付文書と施設のルールで決まります。

刺される回数が減るのは、患者さんにとってすごく大きいですね。
③パワーGlide Proを入れてみた|ガイドワイヤー一体型
この前入れたのは、BD社の「パワーGlide Pro(パワーグライド プロ)」です。日本では2026年7月に発売されたばかりのミッドラインカテーテルです。
特徴は、ガイドワイヤー(カテーテルを血管の中へ導く細いワイヤー)が一体型になっていること。流れはこうです。
入れるときの流れ(ざっくり)
- エコーで血管を見ながら、針で血管を刺す
- 血管の中で、ガイドワイヤーを進める
- ワイヤーに沿ってカテーテルを進め、血管の中に置いてくる
※実際の手順は、必ず製品の添付文書と施設の手順に従ってください。
メーカーの案内でも、一連の手技は、ふつうの末梢カテーテルを入れるときに近い手順で行えるとされています。
個人的な感想を言うと、私はガイドワイヤーが好きなんです。末梢のカテーテルでも、ワイヤーで道をつくってから入れられる。その安心感は大きいと感じました。
それから、見た目。色づかいや、羽(ウイング)がついている形に、ちょっとかっこよさがあります。実際の使いやすさも、かなり使いやすかった。正直、私は結構好きです。

道具って、使う人が「これなら落ち着いて入れられる」と思えるかどうかも大事なんだよね。
ワイヤーがあると、私は気持ちに余裕が持てたよ。
④うまく入れるカギはエコー下穿刺|血管を貫かないために
使ってみて感じたのは、エコー下穿刺(エコーで血管と針先を見ながら刺すこと)の技術が、しっかり必要だということです。
エコーを見ずに進めると、血管を突き抜けてしまったり、うまく血管の中に置けなかったりすることがあると思います。深い血管に入れるからこそ、針先がどこにあるかを見続けることが大切です。
エコー下穿刺で意識したいこと
- 針先を見失ったら、針を進めない
- 血管に入ったら、角度を浅くして奥の壁を突き抜けない
- ワイヤーやカテーテルが進みにくいときは、押し込まずに原因を確かめる
- 血管の太さ・深さ・近くの動脈や神経を、刺す前に確認しておく
逆に言えば、エコー下穿刺が上手にできる環境なら、とても上手に使えるカテーテルだと思います。

エコー下穿刺、私もいつかできるようになりたいです……!
⑤病棟で使うときの注意|TPNなど「中心静脈から入れる点滴」は流さない
ここがいちばん大事なところです。
ミッドラインは見た目がPICCと同じでも、末梢のカテーテルです。だから、中心静脈から入れるべき点滴は流せません。
たとえば、TPN(中心静脈から入れる、高カロリーの濃い栄養の点滴)は、ミッドラインからは入れてはいけません。濃い点滴は、腕の細い静脈を傷めてしまうからです。
海外の輸液看護の基準(INS)でも、持続的に流す起壊死性薬剤(漏れると皮膚や組織を傷つける薬)、静脈栄養、浸透圧が900mOsm/Lを超える輸液には、ミッドラインを使わないとされています。
ミッドラインの点滴をつなぐ前に
- このカテーテルは「ミッドライン(末梢)」だと確認する
- 流す薬が、末梢から入れてよいものか確認する
- TPNなど中心静脈用の点滴は流さない
- 迷ったら、つなぐ前に先輩・薬剤師・医師に聞く
使っている間に見るところ
- 刺したところの赤み・腫れ・痛み
- 腕のむくみ(血栓のサインのことがある)
- 点滴の落ち方、逆血の有無
- 固定がゆるんでいないか、外に出ている長さが変わっていないか

「PICCっぽいから大丈夫だろう」が、いちばん危ない。
つなぐ前の「これ、末梢から入れていい薬?」のひと言が、患者さんの血管を守るよ。
⑥実際に使ってみて|2週間、点滴に困らなかった
入れたあと、患者さんは2週間ほど、点滴に困ることなく治療を続けられました。
私たちも満足でしたし、患者さんも、余計に刺されることがなくてよかったのではないかと思っています。
病棟の看護師にとっても、長く使えるルートがあるのは心強いものです。「また漏れたらどうしよう」と心配しながら点滴を管理するのと、安心して使えるのとでは、夜勤の気持ちがまったく違います。

ミッドラインは、刺す側だけじゃなくて、刺される側と、毎日使う側の負担も減らせる道具なんだと思う。
⑦新人さんにも知っておいてほしい理由
ミッドラインを入れるのは、エコー下穿刺の技術を持った医師や特定看護師などです。でも、入れたあとに毎日使うのは、病棟の看護師です。
新人さんでも、受け持ちの患者さんにミッドラインが入っていれば、点滴をつないだり、観察したりする場面があります。そのときに「長い末梢」だと知っているかどうかで、安全が大きく変わります。
最近は、こうした新しいカテーテルが臨床に出てきています。全部を覚える必要はありません。ただ、「こういうものがある」と知っておくことが、あなたと患者さんを守ってくれます。

次にミッドラインの患者さんを受け持ったら、つなぐ前に「末梢から入れていい薬か」を必ず確認します!
よくある質問
Q. ミッドラインとPICCの違いは?
A. いちばんの違いは、カテーテルの先端の位置です。PICCは先端が中心静脈まで届きますが、ミッドラインは腕の静脈にとどまります。そのため、ミッドラインは末梢のカテーテルとして扱い、TPNなど中心静脈から入れる点滴は流せません。
Q. ミッドラインは、どのくらいの期間入れておける?
A. 国内の『輸液カテーテル管理の実践基準』(2025年改訂)では、6日〜14日未満の治療の選択肢とされています。ただし、実際に何日使えるかは、製品の添付文書、施設の手順、患者さんの状態で決まります。毎日、本当に必要かを見直すことも大切です。
Q. ミッドラインから採血してもいい?
A. 製品によって採血ができるものもありますが、施設のルールによって扱いが違います。自己判断せず、施設の手順を確認してから行いましょう。
Q. 新人看護師がミッドラインの点滴を扱うとき、いちばん気をつけることは?
A. 流す薬が、末梢から入れてよいものかを確認することです。見た目がPICCに似ているので、中心静脈用の点滴をつないでしまう危険があります。迷ったら、つなぐ前に先輩や薬剤師に聞いてください。
まとめ|ミッドラインは「長い末梢」。エコーと薬の確認がカギ
✅ ミッドラインのチェックリスト
- □ ミッドラインは「長い末梢」だと説明できる
- □ PICCとの違いは、先端の位置だと分かっている
- □ 入れ直しが減ることが、いちばんのメリットだと知っている
- □ 採血・ダブルルート・使える日数は、製品と施設で違うと知っている
- □ 入れるには、エコー下穿刺の技術が必要だと分かっている
- □ 針先を見失ったら進めない
- □ TPNなど中心静脈用の点滴は流さない
- □ つなぐ前に「末梢から入れていい薬か」を確認している
- □ 刺したところ・腕のむくみ・点滴の落ちを観察している
- □ 迷ったら、先輩・薬剤師・医師に聞いている

新しい道具が出てくると、ちょっと構えちゃうよね。でも、仕組みが分かれば怖くない。
ミッドラインを見かけたら、「長い末梢だね」って思い出してね。応援してるよ!

見た目に引っぱられずに、中身で判断するんですね。ミッドラインの患者さんを受け持ったら、今日のことを思い出します。
ありがとうございます、しーちゃん!
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