痙攣の止まらない患者さん〜抗痙攣薬・SpO2が測れない夜勤の体験〜

痙攣の止まらない患者さん〜抗痙攣薬・SpO2が測れない夜勤の体験〜 これで悩み解決!新人看護師向けに書きました

夜勤中、痙攣が止まらない患者さんを受け持った経験があります。SpO2も測れない、薬の限界も見えている……そんな状況でどう動くか。この記事では、そのリアルな体験を通じて、新人看護師に知っておいてほしいことをお伝えします。

担当したのはこんな患者さん

Mirai-chan
Mirai-chan

しーちゃん、「痙攣の止まらない患者さん」を受け持ったことがあるんですよね?どんな状態だったんですか?

Shi-chan
Shi-chan

前の勤務からすでに両腕のふるえがあって、引き継いだときも続いていたの。痙攣かどうかはっきりわからないくらいの微妙なふるえだったんだけど、私の勤務になってから下肢や顔面にまで広がっていったの。

Mirai-chan
Mirai-chan

全身に広がるって、すごく怖いですね。そのとき、どんな治療が行われていたんですか?

Shi-chan
Shi-chan

抗痙攣薬はすでに大量に使われていて、6時間ごとの定時点滴に加えて、種類の違う抗痙攣薬も追加されていた。でも主治医の先生もこれ以上薬剤を増やすのは難しいという状況で……。

Mirai-chan
Mirai-chan

つまり、使える薬の選択肢がほぼなくなっていたということですね。

Shi-chan
Shi-chan

そう。そこで夜勤帯の対応として選ばれたのが「ホリゾン」というお薬だったの。

ホリゾン(ジアゼパム)ってどんな薬?

ホリゾンの基本

【ホリゾン(一般名:ジアゼパム)】
・ベンゾジアゼピン系の抗不安薬・抗痙攣薬
・痙攣重積状態(てんかん発作が長引いている状態)に使用される
・静脈内投与で速効性がある
・副作用:呼吸抑制、鎮静、血圧低下
・効果が出るまで数分〜十数分かかることもある

Mirai-chan
Mirai-chan

ホリゾンを使うと、どうなったんですか?

Shi-chan
Shi-chan

痙攣は少し和らいだの。でも同時に呼吸が浅くなった。これがホリゾンの代表的な副作用で、呼吸抑制が起きやすいから、使った後は呼吸状態を細かく確認しなきゃいけないの。

Mirai-chan
Mirai-chan

効果と副作用が隣り合わせなんですね。

Shi-chan
Shi-chan

そう。だから投与後は必ず胸の上がりを確認して、聴診器で呼吸音を聴いて、SpO2の値を見る……というのが基本の流れ。でも、この患者さんはそのSpO2が測れなかったの。

SpO2が測れない!どうやって呼吸状態を確認する?

Mirai-chan
Mirai-chan

SpO2が測れないって、どういうことですか?

Shi-chan
Shi-chan

この患者さんは痙攣に加えて循環不全もあったの。循環が悪いと末梢の血流が不足して、パルスオキシメーター(指につけるやつ)が値を拾えなくなるの。

Mirai-chan
Mirai-chan

じゃあ、どうやって確認したんですか?

Shi-chan
Shi-chan

まず指がダメだったから耳たぶに装着を変えてみた。耳たぶは血流が比較的安定してることがあるから。でも耳たぶでも値が出たり出なかったり……特に痙攣が激しくなると全くゼロになっちゃって。

Mirai-chan
Mirai-chan

SpO2の値がないと、酸素状態がわからない……すごく不安ですね。

Shi-chan
Shi-chan

本当に怖かった。そういうときは数字だけに頼らないことが大切で——胸の上りを目で見る、聴診で肺に空気が入っているか聴く、口元・鼻元の呼気の動きを確認するって、五感をフルに使う観察に切り替えるの。

SpO2が測れないときの観察ポイント

✅ 胸・腹部の上がり下がりを目で確認
✅ 聴診器で両肺の呼吸音を確認
✅ 口元・鼻元の呼気の流れを確認
✅ 顔色・口唇・爪床のチアノーゼを観察
✅ 呼吸回数を実際に数える
✅ 動脈血液ガス(ABG)採取を医師と相談

Mirai-chan
Mirai-chan

血液ガスを採ることもできるんですよね?

Shi-chan
Shi-chan

そう。動脈血を採れば正確な酸素の値がわかるんだけど、このときは先生から「今は急がないからやらなくていい」って返事だった。つまり先生はこの患者さんの全体像を見て、今の優先度を判断していたの。先生と看護師の情報共有がすごく大切な場面だよ。

痰がすごく多い——SpO2不明の状態での吸引

Mirai-chan
Mirai-chan

吸引もしたんですか?

Shi-chan
Shi-chan

そう。体位交換のたびにごろごろと痰の音が聴こえてきて、放置したら気道閉塞につながるから吸引を何度もしたの。でもSpO2が測れない状態での吸引って、本当に怖いの。

Mirai-chan
Mirai-chan

どうして怖いんですか?

Shi-chan
Shi-chan

吸引って、カテーテルを気道に入れて痰を吸い出すんだけど、その間は酸素が体に入りにくくなるの。だから通常は吸引前後にSpO2を確認して、低下していないか見るのが基本。でもSpO2が測れないと、今の状態が安全かどうかの判断が難しくなる。

Mirai-chan
Mirai-chan

そんなときはどうするんですか?

Shi-chan
Shi-chan

吸引の時間を短くする(1回10〜15秒以内)、前後に深呼吸を促す・酸素投与を増やす、顔色・口唇を見ながら吸引する……という工夫で対応するの。あと、この患者さんは注入(経腸栄養)もしていて、肺炎のリスクも高い状況だった。だから余計に気道管理が大事だったの。

吸引時の注意ポイント(SpO2不安定な患者さん)

• 1回の吸引は10〜15秒以内にする
• 吸引前に酸素化を十分にする(深呼吸・酸素UP)
• 顔色・口唇色を観察しながら実施
• 経腸栄養中は誤嚥リスクが高い→体位・排液の確認も
• 無理に長く続けず、休憩を挟む

患者さんの気持ちを想像する

Mirai-chan
Mirai-chan

しーちゃんは不安だったと思うけど、患者さんはどうだったんでしょう?

Shi-chan
Shi-chan

この患者さんは意識がはっきりしていない状態だったんだけど、それでも患者さんも怖いだろうなってすごく感じた。痙攣って、本人にとっても体が勝手に動いてしまう苦しい体験だから。

Mirai-chan
Mirai-chan

意識が曖昧でも、感じることはあるんですよね。

Shi-chan
Shi-chan

そう。だから処置をするときも「今から痰を吸いますね」「大丈夫ですよ」って声かけをするようにしてた。数字で確認できなくても、声かけや手のぬくもりで安心を伝えることは、常にできるから。

看護師は「できること」を尽くすと同時に、患者さんの不安や恐怖を少しでも和らげる存在でもあります。

治療方針の限界と家族への告知

Mirai-chan
Mirai-chan

それで、その患者さんはその後どうなったんですか?

Shi-chan
Shi-chan

痙攣はその夜の勤務では完全には止まらなかった。翌日、医師と家族で今後の治療方針を話し合うことになったの。「これ以上できる治療が限られている」という状況での話し合いだから、とても重い場面だよね。

Mirai-chan
Mirai-chan

こういう場面で看護師はどんな役割をするんですか?

Shi-chan
Shi-chan

患者さんの状態を正確に記録して医師に伝えること、家族が不安を話せる場を作ること、そしてその夜にどんなケアをしたかをしっかり申し送ること。看護師は治療方針を決める立場じゃないけど、一番そばで関わった者として大切な情報を持っている存在なの。

Mirai-chan
Mirai-chan

申し送りって、そういう意味でも大事なんですね。

Shi-chan
Shi-chan

そう。「夜勤中にこういうことがあって、こう対応した、患者さんの反応はこうだった」という記録と申し送りが、次のケアにつながるの。

新人看護師へ——「わからない・怖い」は正常な感覚

Mirai-chan
Mirai-chan

こういう経験って、新人にとってはとてつもなく怖そうです。

Shi-chan
Shi-chan

正直に言うと、私もとても怖かった。SpO2が測れない、使える薬がない、先生も答えが出せない……そういう状況で、それでもできることをするしかない。

Mirai-chan
Mirai-chan

そういうとき、しーちゃんは何を考えながら動いてたんですか?

Shi-chan
Shi-chan

「今この瞬間、自分にできる観察と報告をしよう」ってことだけ考えてた。完璧な対応なんてできなくていい。でも、目の前の患者さんから目を離さない、変化を見逃さない、記録する、報告する——それを続けること。

Mirai-chan
Mirai-chan

新人の私でもそれならできそうな気がします。

Shi-chan
Shi-chan

できるよ。むしろ新人のうちは「こんな状況、経験したことない」ってなるのが普通。それを「怖い」「不安」って感じる感覚は正しいの。その感覚が「もっとちゃんと知りたい」という学びへの原動力になるんだよ。

怖いと感じたら、その経験を糧にできます。まず先輩に聞く、調べる、記録する——その繰り返しが看護師としての力になっていきます。

よくある質問

Q. 痙攣重積状態ってどういう意味ですか?

痙攣が5分以上持続する、または発作と発作の間に意識が戻らない状態を「痙攣重積状態(てんかん重積状態)」といいます。脳への酸素供給が長時間妨げられるため、命にかかわる緊急状態です。早急な薬物治療と気道管理が必要になります。

Q. ホリゾンは何のために使うんですか?副作用は?

ホリゾン(ジアゼパム)はベンゾジアゼピン系の薬で、脳の神経興奮を抑えることで痙攣を止めます。速効性があり痙攣重積状態の第一選択薬のひとつですが、呼吸抑制・血圧低下・眠気が強い副作用として知られています。使用後は必ず呼吸状態・血圧・意識レベルをモニタリングします。

Q. SpO2が測れないときは何を見ればいいですか?

①胸腹部の動きを目で確認、②聴診で呼吸音を確認、③呼吸回数を実際に数える、④顔色・口唇・爪床のチアノーゼを観察、⑤医師と相談して動脈血液ガスを検討——この5つが基本です。数字に頼れないときは、五感による観察がより重要になります。

Q. 吸引はいつやめていいですか?

1回の吸引は10〜15秒以内を目安にし、カテーテルを引き抜くときにゆっくりと回転させながら吸い出します。患者さんが苦しそうであれば即座に中断し、酸素投与を行いながら状態を確認してください。吸引後は必ず呼吸状態・SpO2(測れる場合)・痰の色・量を観察して記録します。

この経験から学べること——まとめ

✅ 抗痙攣薬(ホリゾンなど)使用後は呼吸状態を必ず確認する
✅ SpO2が測れないときは五感を使った呼吸観察に切り替える
✅ パルスオキシメーターは耳たぶ・額など代替部位を試す
✅ 吸引は1回10〜15秒以内、患者さんの反応を見ながら実施
✅ 経腸栄養中は誤嚥リスクが高い——体位と気道管理は特に重要
✅ 意識が不明瞭な患者さんにも声かけを忘れない
✅ 医師への報告・記録・申し送りが次のケアをつなぐ
✅ 「怖い・わからない」は学びのサイン——先輩に聞いてOK

Mirai-chan
Mirai-chan

今日のしーちゃんの話、すごく勉強になりました。SpO2が測れない状況になったとき、パニックにならずに五感で観察するって、意識しておかないとできないですよね。

Shi-chan
Shi-chan

そう。でも、知っているだけで全然違う。「あ、これが教科書で言ってた状況だ」って思えれば、次の行動が出てくるから。みらいちゃん、こういう経験を積んでいくごとに、どんどん頼れる看護師になっていくよ。

Mirai-chan
Mirai-chan

ありがとうございます!しーちゃんみたいに、怖くても逃げない看護師になりたいです!

Shi-chan
Shi-chan

逃げないというより……怖いまま、できることをやるの。それが看護師の強さだと思ってる。一緒に頑張ろうね。

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