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「先生に電話するのが怖い」
「緊張して、何を言っているのか自分でも分からなくなる」
「『それで、何?』と言われて頭が真っ白になった」
——結論から言います。報告の一言目は「先生に何をしてほしいか」です。これを最初に言うだけで、報告はぐっとうまくいきます。
今回は、看護師20年目の私が、新人のころの失敗と、特定看護師として医師と話すようになって分かった「伝わる報告」のコツをお話しします。
📌 先に答え|報告がうまくいく順番
- 何をしてほしいか(結論):「すぐに病棟に来てください」「指示をください」など
- なぜそう思ったか(理由):短く。いちばん大事な所見だけ
- 先生が聞いてきたら答える(詳細):聞かれそうなことは、電話の前に手元に用意しておく
しゃべりすぎない。相手に「何をしてほしいか」が伝われば、報告は成功です。

しーちゃん、先生への電話がどうしても怖くて……。何から話せばいいのか、毎回分からなくなるんです。

わかるよ。私も新人のころ、「何言ってるかわからない」って怒られたことがあるもん。

しーちゃんでもですか!?

あるある。でも今は、一言目を決めているの。「先生に何をしてほしいか」。
今日は、その理由と、そのまま使える報告の例を一緒に見ていこう。
📌 この記事でわかること
- 報告の一言目を「何をしてほしいか」にする理由
- そのあとに伝える「理由」は短くていい
- 新人のころに怒られた2つの失敗
- 20年目でも緊張する|電話の前に用意しておくこと
- 夜中の電話は一人でかけない
- 報告するか迷ったときの考え方と、報告の型「SBAR」
①結論|報告の一言目は「先生に何をしてほしいか」
私の持論は、これです。
いろいろ報告したとしても、最終的に「医師に何をしてほしいのか」。これが報告の結論になります。その結論を、最初の一言目に持っていく。そうすると、報告はうまくいきます。
たとえば、こんな感じです。
| 場面 | 一言目(何をしてほしいか) |
|---|---|
| 急変している | 「患者さんが急変しています。すぐに病棟に来てください」 |
| 胃管が抜けてしまった | 「胃管が抜けてしまったので、お時間のあるときに入れ直していただけますか」 |
| 血圧の指示がない | 「血圧の指示がないので、指示をいただきたいです」 |
| 転院調整でつまずいている | 「転院調整のことで相談したいので、今日お時間のあるときはありますか」 |
急いでほしいのか、時間のあるときでいいのか。来てほしいのか、指示がほしいのか、相談したいのか。一言目で、医師は「自分が何をすればいいか」と「どれくらい急ぐか」が分かります。

医師は、電話を取った瞬間から「で、自分は何をすればいいの?」って考えながら聞いているんだよね。
だから、その答えを最初に渡してあげるの。
②そのあとに「なぜそう思ったか」を短く伝える
結論を言ったら、次は、その結論にいたった理由です。
たとえば、急変で診察してほしいなら、「◯◯さんが努力呼吸をしていて、CRT(爪を押して色が戻るまでの時間)も延長しているので、すぐに診察してほしいです」。
血圧がとても下がっているなら、「血圧が下がっているので、輸液などの指示をいただきたいです」。
胃管が抜けたなら、身体拘束をしていたのに抜けてしまったのか、拘束をしていない状態で抜けたのか。報告にいたる経緯は、いろいろあります。
ただ、ここで大事なのは、しゃべりすぎないことです。経緯をくわしく聞きたい医師もいれば、あまり聞かなくてもいい医師もいます。要は、相手に「何をしてほしいか」がきちんと伝わればいいんです。

理由は、いちばん大事なことだけでいいんですね。
③新人のころの私|「何言ってるかわからない」と怒られた
新人のころは、医師との信頼関係もない中で報告しなければいけません。
私も、緊張して、バイタルサインを全部並べて、症状を全部並べて……。結論を言うまでに、いろいろなことをベラベラしゃべってしまっていました。
そして言われたのが、「何言ってるかわからない」。
いま思えば当然です。医師は最後まで聞かないと、自分が何を頼まれているのか分からない。しかも、急ぐのかどうかも分からない。結論が最後にあると、聞く側はずっと不安なままなんです。

新人のころの報告って、「全部伝えなきゃ」と思うほど長くなるんだよね。
全部伝えるのは、聞かれてからで大丈夫。
④調子に乗って、治療を提案して怒られた話
もう一つ、失敗があります。
若いころ、すごく勉強して、正直ちょっと調子に乗っていた時期がありました。医師に報告するときに、「先生、この治療はこうしたほうがいいんじゃないですか」と、医療の提案をしてしまったんです。
そこまで強く言ったわけではありません。それでも、「ふざけるな」と怒られました。
この経験から学んだのは、報告の結論は「何をしてほしいか」であって、「どんな治療をすべきか」ではないということです。診察してほしい、指示がほしい、相談したい。そこまでを伝えて、治療の中身は医師の判断にゆだねる。それが、新人のうちはとくに大事だと思います。

勉強したことを生かしたい気持ちは、すごく大事なの。
でもそれは「提案」じゃなくて、「この所見を見てほしい」という形で伝えれば、ちゃんと届くよ。
⑤20年目でも緊張する|聞かれることを、先に用意しておく
私はもう20年目で、医師とのコミュニケーションや信頼関係もあるので、比較的報告しやすいほうだと思います。若い看護師からも「報告しやすいんだろうな」と思われていると思います。
でも、実はこっちも緊張しています。20年目の看護師が報告したということは、相手は「分かりやすく、意図のはっきりした報告」を期待している。20年目には、20年目なりのプレッシャーがあるんです。
だから私は、医師から聞かれそうなことを想定してから電話をかけます。たとえば、血圧が低くて報告するとき。血圧の数字だけでなく、こんなことを手元に用意しておきます。
電話の前に手元に用意しておくこと(血圧低下の例)
- どんな薬を飲んでいるか(とくに血圧を下げる薬)
- 血圧の推移(いつから、どれくらい下がったか)
- ほかのバイタルサインとの関係(脈拍・呼吸数・SpO2・体温・尿量)
- 本人の症状(めまい、ぼーっとする、冷や汗など)
- 今出ている指示
結論→理由を短く→聞かれたらここから答える。この順番なら、緊張していても伝わります。

20年目でも緊張するって聞いて、ちょっとほっとしました……。
⑥夜中の電話は、一人でかけない
夜中に電話をかけるときは、相手を起こすことになります。電話の向こうの医師が、すごく不機嫌なこともあります。
だからこそ、夜中に電話するときは、自分だけで決めずに、先輩とよく相談します。報告すること、報告しなければいけない内容を一緒に吟味して、何を伝えるべきかを整理する。そうすると、ちゃんと伝えられるんです。
報告は、一人でやらない。みんなでやる。それが大事だと思っています。
夜中に電話する前に、先輩と確認すること
- 今すぐ報告が必要か、朝でいいか
- 一言目(何をしてほしいか)は何か
- 理由として伝える、いちばん大事な所見はどれか
- 聞かれそうなこと(薬・推移・ほかのバイタルサイン・症状)はそろっているか

先輩に相談するのは、迷惑じゃないよ。
夜中の報告を一人で抱えさせない。それがチームだから。
⑦報告するか迷ったら|患者さんファーストで考える
報告するか、しないか。迷う場面はたくさんあります。
でも、患者さんを第一に考えたとき、やっぱり報告しなければいけないことが多いと思うんです。患者さんのためになるなら、それが正義です。夜中であっても報告しなければいけないことは、たくさんあります。
その逆で、今すぐでなくても、朝報告すればいいこともあります。急がないことです。このジャッジは、正直とても難しいです。
しかも、診療科によって優先順位が違います。たとえば、心電図の変化。脳神経外科の医師は、それほど優先順位を高くは考えていないことがあります。でも、循環器の患者さんだったら話は別です。洞調律から心房細動に変わった、少し頻脈になった。それが命に関わったり、心不全が悪くなるきっかけになったりするので、なるべく早く報告しなければいけません。
同じ変化でも、患者さんの状況によって、報告の急ぎ具合は変わる。だから迷ったら、一人で決めずに先輩に相談してください。

迷ったときは、「この患者さんにとって、朝まで待って大丈夫?」と自分に聞いてみて。
答えに自信がなければ、報告する方向で先輩に相談しよう。
⑧【解説】報告の型「SBAR」と、結論ファーストの関係
報告の型として、よく知られているのが「SBAR(エスバー)」です。
| SBAR | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| S:Situation(状況) | 今、何が起きているか | 「◯◯さんが呼吸苦を訴えています」 |
| B:Background(背景) | どんな患者さんか、これまでの経過 | 「肺炎で入院中、酸素2Lです」 |
| A:Assessment(評価) | 自分はどう考えているか | 「呼吸状態が悪くなっていると思います」 |
| R:Recommendation(提案・要請) | 何をしてほしいか | 「すぐに診察をお願いします」 |
SBARは、伝える内容をもれなく整理するのに、とても役に立ちます。
私のやり方は、このSBARの「R(何をしてほしいか)」を、最初に一言だけ言う形です。「すぐ来てください」と先に言ってから、S・B・Aを短く伝える。結論が先にあると、医師は残りの話を「なぜ来てほしいのか」という目で聞けるので、伝わり方がまったく違います。
なお、施設によっては報告の基準や型が決まっていることがあります。まずは施設のルールに従ってください。
⑨そのまま使える報告の例
急変(すぐ来てほしい)
「◯号室の◯◯さんが急変しています。すぐに病棟に来てください。努力呼吸があって、SpO2が◯%まで下がり、CRTも延長しています」
血圧低下(指示がほしい)
「◯号室の◯◯さんの血圧が下がっているので、輸液などの指示をいただきたいです。◯時に◯◯で、いつもは◯◯です。脈拍は◯◯、意識は変わりありません」
胃管が抜けた(時間のあるときでいい)
「◯号室の◯◯さんの胃管が抜けてしまいました。お時間のあるときに入れ直していただけますか。次の注入は◯時の予定です」
相談したい(時間をとってほしい)
「◯号室の◯◯さんの転院調整のことで相談したいので、今日お時間のあるときはありますか。」

一言目を決めておくだけで、こんなに分かりやすくなるんですね!
⑩しーちゃんの本音|特定看護師になって、あらためて分かったこと

特定看護師として医師と話すようになって、あらためて思ったの。やっぱり、話は結論から。

だらだらと内容を話さない。結論を伝えて、相手が聞きたいであろうことを、会話の中で話していく。
それがいちばんいい報告なんだと思ってる。

結論から言って、あとは会話の中で……。それなら私にもできそうです。

できるよ。最初はうまくいかなくて当たり前。
一言目だけ決めて電話をかける。それを続けていたら、気づいたら報告が怖くなくなってるから。
よくある質問
Q. 何をしてほしいのか、自分でも分からないときは?
A. まずは「診察してほしい」「指示がほしい」「相談したい」のどれに近いかを考えてみてください。それでも分からないときは、「一度診ていただけますか」で大丈夫です。電話の前に、先輩と一緒に一言目を決めるのもおすすめです。
Q. 報告して怒られたら、どうすればいい?
A. 怒られたこと自体は、あなたの価値を決めるものではありません。ただ、「何が分かりにくかったのか」は振り返るチャンスです。結論が最後になっていなかったか、しゃべりすぎていなかったかを、先輩と一緒に見直してみましょう。
Q. 夜中に報告するか、朝まで待つか迷います
A. 「この患者さんにとって、朝まで待って大丈夫か」で考えます。自信がなければ、一人で決めずに先輩に相談してください。診療科や患者さんの状態によって、急ぐべきことは変わります。
Q. SBARの順番どおりに話さないとダメ?
A. SBARは内容を整理するための道具です。電話では、最初に「何をしてほしいか(R)」を一言伝えてから、S・B・Aを短く話すと伝わりやすくなります。施設で型が決まっている場合は、それに従ってください。
まとめ|一言目は「何をしてほしいか」
✅ 医師に報告する前のチェックリスト
- □ 一言目(何をしてほしいか)を決めた
- □ 急ぐのか、時間のあるときでいいのかを決めた
- □ 理由として伝える、いちばん大事な所見を1〜2個にしぼった
- □ 薬・推移・ほかのバイタルサイン・症状を手元に用意した
- □ 今出ている指示を確認した
- □ 治療の提案ではなく「してほしいこと」を伝える形にした
- □ 夜中なら、先輩と一緒に内容を整理した
- □ 迷ったら「患者さんファースト」で考えた
- □ しゃべりすぎず、聞かれたことに答える準備をした

報告が怖いのは、あなたが患者さんのことを真剣に考えているからだよ。
一言目だけ決めて、受話器を取ってね。応援してるよ!

「何をしてほしいか」を最初に言う。明日の報告から、一言目を決めてから電話します。
ありがとうございます、しーちゃん!
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