このページを読むと…
✅ 朝ドラ「風、薫る」第35話の流れがわかる
✅ 「直美より、りんがいい」と患者さんが言う理由を看護師目線で整理できる
✅ 効率的なケアと患者さんが安心するケアの違いがわかる
✅ 侯爵夫人・千佳子の入院からVIP患者対応の難しさを考えられる
✅ 「自分には技量がない」と断る直美の判断を新人看護師目線で学べる

しーちゃん、第35話はすごく考えさせられました。直美さんは患者さんのために動いていたはずなのに、丸山さんたちから「りんさんがいい」って言われてしまって…。でも後半では千佳子夫人が入院して、病院の空気が一気に変わりましたね。

うん。第35話は、看護師目線でかなり大事な回だったよ。効率よく正しいことをする直美さんと、患者さんが安心できるりんさん。その違いが見えたし、さらに身分の高い患者さんが入院することで、病院の優先順位や緊張感も浮き彫りになったね。
- 朝ドラ「風、薫る」第35話のあらすじ
- ナース目線ポイント①:「正しいケア」と「受け取られるケア」は違う
- ナース目線ポイント②:りんの看護は“安心して弱音を言える空気”
- ナース目線ポイント③:直美の効率は必要。でも“患者さんのペース”も必要
- ナース目線ポイント④:患者さんの「文句を言いづらい」は大事なサイン
- ナース目線ポイント⑤:直美が長屋で見た“医療に届かない人たち”
- ナース目線ポイント⑥:千佳子夫人の入院で見える“VIP患者対応”の難しさ
- ナース目線ポイント⑦:病院全体が“特別対応”になる時のリスク
- ナース目線ポイント⑧:乳がん疑いの患者さんに必要な心理的ケア
- ナース目線ポイント⑨:直美の「技量がありません」はプロとしての断る勇気
- ナース目線ポイント⑩:第35話は“患者中心”の意味が広がる回
- 新人看護師さんが第35話から学べること
- 先輩看護師・指導者に伝えたいこと
- 第35話を看護師目線で読み解くと
- よくある質問
- まとめ:第35話は“患者中心の看護”を問い直す回
- Recommended Resources 🛒
朝ドラ「風、薫る」第35話のあらすじ
第35話では、病院実習中のりんと直美の違いが、患者さんたちの反応を通して描かれます。
第34話で直美は、藤田にうまく働きかけ、丸山の薬を増やしてもらうなど、患者さんの要望を通すことに成功しました。患者さんのために医師を動かす直美の力は確かです。治療も順調に進み、直美は一歩リードしたようにも見えました。
ところが第35話では、患者の丸山たちが「直美より、りんがいい」と話します。
直美が休みの日に病室を仕切ると、患者さんたちは食事、薬、歩行訓練などをきびきび進められます。直美は患者さんのために動いているのですが、患者さん側からすると少し息苦しい。文句を言いづらい。正しいことをされているのはわかるけれど、りんがいるときの方が安心する。そんな空気が見えてきます。
一方、直美は休みの日に長屋へ立ち寄ります。長屋の人たちは、直美が立派な病院で働いていることを誇らしく思います。けれど、その言葉の奥には、自分たちにはそのような病院へ行くことなど一生ないという社会的な隔たりもにじみます。
そして後半では、和泉侯爵家の千佳子夫人が入院することになります。千佳子は乳がんの疑いがあり、手術が必要な状況です。身分の高い患者の入院に、病院内にはただならぬ緊張感が走ります。医師たちは総出で丁重に扱い、病院全体が特別対応へと動きます。
その中で、りんと直美は呼び出されます。しかし直美は、侯爵夫人の看病をする技量はないと毅然と拒みます。
第35話は、患者さんにとって本当に安心できる看護とは何か、身分や社会階層によって医療の扱いが変わる現実、そして看護師が自分の力量を超える依頼にどう向き合うかを考えさせる回でした。

直美さんは患者さんのために頑張っているのに、患者さんからは少ししんどいと思われていたんですね。

そう。ここが看護の難しいところだよ。正しいこと、必要なことをしているつもりでも、患者さんのペースや気持ちを置き去りにすると、ケアは押しつけに感じられることがあるの。
ナース目線ポイント①:「正しいケア」と「受け取られるケア」は違う
第35話で丸山たちは、直美よりもりんがいいと話します。
直美は決して怠けているわけではありません。むしろ患者さんのために動いています。食事を進め、薬を塗り、歩く練習もさせる。治療や回復に必要なことを、きびきび行っているように見えます。
でも、患者さんにとっては少し息苦しい。
ここに看護の大切なポイントがあります。
看護師が「必要」と思うケアと、患者さんが「安心して受けられる」ケアは、必ずしも同じではありません。
たとえば、術後の離床は大切です。早期離床は合併症予防やADL回復につながります。でも、患者さんが痛みや不安を強く感じている時に、「歩かなければいけません」と一方的に進めれば、患者さんは追い立てられているように感じることがあります。
食事摂取も大切です。栄養は回復に必要です。でも、吐き気や疲労、口腔内の不快感がある患者さんに、ただ「食べてください」と促すだけでは負担になります。
薬の塗布も、処置も、清潔ケアも同じです。
正しいケアでも、タイミング、声かけ、説明、患者さんの反応を見ないまま進めると、患者さんにとっては苦痛になることがあります。
直美は「治療を進める力」があります。でも第35話では、「患者さんがどう受け取っているか」を見ることの大切さが浮かび上がりました。

必要なケアをしているのに、患者さんに嫌がられるとつらいですね。

つらいよね。でもそこで「患者さんがわかってくれない」と思うだけではなく、「どう伝えたら受け取りやすいかな」「今のペースは合っているかな」と見直すことが大切だよ。
ナース目線ポイント②:りんの看護は“安心して弱音を言える空気”
丸山たちは、りんの方がいいと言います。
りんは直美ほど器用に医師を動かせるわけではありません。報告が届かなかったり、患者さんに拒否されたり、悩んだりしています。それでも患者さんたちは、りんがいると安心するようです。
なぜでしょうか。
看護師目線で考えると、りんには「弱音を言える空気」があります。
患者さんは、いつも前向きでいたいわけではありません。痛い、つらい、今日は歩きたくない、食べたくない、怖い、面倒くさい、少し休みたい。そういう気持ちを持つことがあります。
直美のようにきびきび進める人の前では、患者さんは文句を言いづらいかもしれません。「自分のためにやってくれているのに、嫌だと言ったら悪い」と思うこともあります。
一方、りんは患者さんの言葉にならない気持ちを拾おうとします。完璧ではないけれど、患者さんの反応に揺れ、悩み、立ち止まる。そこに患者さんは、自分のしんどさを出しやすいのかもしれません。
看護師にとって、弱音を言える空気を作ることはとても大切です。
患者さんが本当の痛みを言える。
不安を言える。
「今日は無理」と言える。
「もう少し待って」と言える。
「わからない」と言える。
それは安全にもつながります。
患者さんが無理をして「大丈夫」と言い続けると、転倒、疼痛悪化、食事摂取不良、服薬の問題、退院後の困りごとの見逃しにつながることがあります。
りんの看護は、患者さんが本音を出せる余白を持っているのだと思います。

患者さんが弱音を言ってくれるって、信頼のサインでもあるんですね。

そうだよ。弱音は困った言葉ではなく、看護につながる大切な情報。患者さんが弱音を言える関係は、実はとても強い関係なんだよ。
ナース目線ポイント③:直美の効率は必要。でも“患者さんのペース”も必要
直美のケアが息苦しく見える一方で、直美の効率性そのものは看護に必要です。
病棟では、時間が限られています。患者さんは一人ではありません。食事、処置、清潔ケア、内服、歩行練習、記録、報告、医師への確認、家族対応。多くのことを時間内に行う必要があります。
だから、看護師には段取り力が必要です。
何を優先するか。
どのケアをまとめるか。
どのタイミングで離床を進めるか。
どの患者さんを先に見るか。
どこで医師に確認するか。
直美のきびきびした動きは、現場では大きな強みになります。
ただし、効率だけで進めると患者さんが置いていかれます。
看護師の段取りは、患者さんを急がせるためではありません。患者さんが安全に、できるだけ負担少なくケアを受けられるようにするためです。
たとえば、歩行練習を進める時も、患者さんの痛み、疲労、不安、前回の反応を見ます。食事を促す時も、吐き気や嚥下、口腔内の状態を見ます。薬を塗る時も、痛みや羞恥心への配慮をします。
効率と患者さんのペースは、どちらか一方ではありません。
直美に必要なのは、効率を捨てることではなく、効率の中に患者さんの反応を見る余白を持つことです。

忙しいと、どうしても段取り優先になります。でも患者さんには患者さんのペースがありますよね。

そう。段取りは大事。でも、患者さんの表情が曇ったら一度立ち止まる。急がせるより、説明して納得してもらう方が結果的にスムーズなことも多いよ。
ナース目線ポイント④:患者さんの「文句を言いづらい」は大事なサイン
第35話で患者さんたちは、直美に対して文句を言いづらい空気を感じています。
これは看護師にとって見逃したくないサインです。
患者さんが文句を言わないから、満足しているとは限りません。
「忙しそうだから言えない」
「看護師さんに悪い」
「怒られるかもしれない」
「自分のためにやってくれているから我慢しよう」
「言っても変わらない」
こうした理由で、患者さんは本音を飲み込むことがあります。
看護師は、患者さんが言わないことも観察します。
ケア中に体がこわばっていないか。
返事が短くなっていないか。
目線をそらしていないか。
「大丈夫です」と言いながら表情がつらそうではないか。
ケアの後に疲れきっていないか。
患者さんが文句を言いやすい空気を作ることも大切です。
「つらかったら言ってくださいね」
「痛い時は我慢しなくて大丈夫です」
「今のペースで大丈夫ですか」
「今日は少し休みたい気持ちもありますか」
こうした声かけは、患者さんに選択肢を渡します。
看護師が一生懸命なほど、患者さんは遠慮することがあります。だからこそ、看護師側から「言っていいですよ」という空気を作る必要があります。

患者さんが何も言わないと、うまくいっていると思いがちです。

言わないことにも意味があるよ。特に遠慮が強い患者さんは、表情や態度で出ていることがある。言葉だけでなく反応を見ようね。
ナース目線ポイント⑤:直美が長屋で見た“医療に届かない人たち”
第35話では、直美が休みの日に長屋へ立ち寄ります。
長屋の人たちは、直美が立派な病院で働いていることを誇らしく話します。けれど、その言葉の中には「自分たちにはそんな病院へ一生行けない」という現実もにじみます。
ここは、看護師目線でとても重要です。
医療は、すべての人に同じように届いているわけではありません。
現代の日本でも、公的医療保険があるとはいえ、受診のしやすさには差があります。経済的な不安、仕事を休めない事情、交通手段の問題、家族の支援不足、情報格差、言葉の壁、医療への不信感。さまざまな理由で医療にアクセスしにくい人がいます。
第35話の長屋の人たちの言葉は、医療の格差を静かに見せています。
直美は病院の中で、医師を動かし、患者さんの要望を通す力を発揮しています。でも長屋の人たちは、その病院の入口にすら立てないかもしれません。
看護師が見るべきなのは、病院の中の患者さんだけではありません。
病院に来られない人。
治療を受ける前に我慢してしまう人。
退院後に支援へつながれない人。
医療の言葉が届かない人。
こうした人たちの存在を想像することも、看護の視野を広げます。

病院に来ている患者さんだけが、医療を必要としている人ではないんですね。

そう。病院に来られる人は、すでに医療につながれた人でもある。つながれない人たちがいることを忘れない視点は、とても大切だよ。
ナース目線ポイント⑥:千佳子夫人の入院で見える“VIP患者対応”の難しさ
第35話の後半では、和泉侯爵家の千佳子夫人が入院します。
身分の高い患者の入院に、病院内の空気は一変します。医師たちは総出で準備し、病院全体が緊張します。千佳子夫人は乳がんの疑いがあり、手術が必要な患者です。
看護師目線で見ると、これはVIP患者対応の難しさそのものです。
現代の病院でも、社会的地位の高い人、有名人、病院関係者の家族、医療者本人、クレームリスクが高いと見なされる人など、周囲が特別に緊張する患者さんがいます。
でも、看護師が忘れてはいけないのは、どんな立場の人でも患者さんであるということです。
VIPだからといって、必要以上に特別扱いをして他の患者さんのケアが後回しになってはいけません。逆に、身分や態度に圧倒されて必要な観察や説明を避けてもいけません。
大切なのは、公平性と個別性のバランスです。
千佳子夫人には、侯爵夫人としての立場があります。乳がんの疑いという病気への不安もあります。手術への恐怖もあるでしょう。周囲から特別扱いされることで、本人の孤独や本音が見えにくくなる可能性もあります。
看護師は、立場に圧倒されず、一人の患者として見る必要があります。

VIP患者さんって、緊張して普通に関われなくなりそうです。

緊張するよね。でも看護師が見るのは、肩書きではなく患者さんの状態。もちろん礼節は大事だけど、観察、説明、安全確認は他の患者さんと同じように必要だよ。
ナース目線ポイント⑦:病院全体が“特別対応”になる時のリスク
千佳子夫人の入院で、病院全体がただならぬ緊張感に包まれます。
こうした時、現場にはリスクがあります。
一つは、他の患者さんへの影響です。
特定の患者さんに人手や注意が集中すると、他の患者さんのナースコール、処置、観察、離床、食事、疼痛管理が後回しになることがあります。
二つ目は、スタッフの判断がゆがむことです。
身分の高い患者さんだから失敗できない、怒らせてはいけない、失礼があってはいけない。その緊張が強すぎると、必要な説明や確認がしづらくなります。
三つ目は、患者さん本人の本音が見えなくなることです。
周囲があまりに丁重に扱うと、患者さんは本当の不安や痛みを言いづらくなることがあります。特に立場のある人は、弱さを見せにくいかもしれません。
看護師は、特別対応の空気の中でも患者安全を守る必要があります。
誰に人手が必要か。
どの患者さんの観察が抜けやすいか。
VIP患者さんに必要なケアは何か。
他の患者さんへの影響はないか。
スタッフが過度に緊張していないか。
これをチームで見ます。
第35話の病院の緊張感は、単なるドラマの盛り上げではなく、医療現場の優先順位が社会的な力に揺さぶられる様子を見せていました。

特別な患者さんが入ると、その人だけじゃなく病棟全体を見る必要があるんですね。

そう。ひとりの患者さんへの対応が、病棟全体の安全に影響することがある。リーダーや先輩は、全体を俯瞰する視点が必要だね。
ナース目線ポイント⑧:乳がん疑いの患者さんに必要な心理的ケア
千佳子夫人は、乳がんの疑いで入院します。
ここは看護師として、とても丁寧に見たいところです。
乳がんの疑いがある患者さんは、身体の病気だけでなく、心にも大きな衝撃を受けます。命への不安、手術への恐怖、乳房を失うかもしれない不安、女性性や身体イメージの変化、家族や社会的立場への影響。さまざまな苦しさが重なります。
第35話では、千佳子夫人は身分の高い人物として登場します。周囲は彼女を侯爵夫人として扱います。
でも看護師は、その肩書きの奥にある患者さんの不安を見なければなりません。
強く見える人ほど、不安を隠すことがあります。
わがままに見える言動の奥に、恐怖があることがあります。
高圧的な態度の奥に、身体をコントロールできない不安があることがあります。
乳がん疑いの患者さんには、説明の理解、手術への不安、痛み、術後の生活、身体イメージ、家族への伝え方など、さまざまな支援が必要になります。
千佳子夫人の言動が今後どれほど厄介に見えても、看護師は「この人は今、病気と手術の不安の中にいる」と見る視点を失いたくありません。

わがままに見える患者さんも、不安が強いだけかもしれないんですね。

そう。もちろん何でも許すという意味ではないよ。でも、言動の奥にある不安を見ようとすることは大切。特に手術やがんの疑いは、その人の人生全体を揺らすからね。
ナース目線ポイント⑨:直美の「技量がありません」はプロとしての断る勇気
第35話のラストで印象的なのは、直美が「侯爵夫人の看病をする技量はない」と拒む場面です。
これはとても大切です。
新人看護師さんは、依頼されたことを断るのが苦手です。
できませんと言ったら評価が下がるのではないか。
やる気がないと思われるのではないか。
先輩に迷惑をかけるのではないか。
患者さんを見捨てることになるのではないか。
そう感じることがあります。
でも、自分の技量を超えたケアを無理に引き受けることは、患者さんにとって危険です。
特に千佳子夫人のように、手術を控えた乳がん疑いの患者で、社会的立場も高く、病院全体が緊張しているケースでは、看護師には高い観察力、説明力、心理的ケア、礼節、チーム調整力が求められます。
直美は自分の力を過信しませんでした。
これは逃げではなく、安全のための判断です。
現代の看護でも、できないことを「できません」と言う力は重要です。
初めての処置を一人で任されそうになった時。
自分の判断では危険だと感じる時。
患者さんの状態が複雑で一人では見られない時。
説明や対応に自信がない時。
その時は、できませんで終わるのではなく、「一人では不安なので一緒に確認してください」「経験がないので指導をお願いします」「この患者さんはリスクが高いので複数で対応したいです」と伝えることが大切です。

できませんって言うのは勇気がいります。でも患者さんの安全のためには必要なんですね。

そう。看護師のプロ意識は、何でも引き受けることではないよ。自分の限界を知り、必要な支援を求めることもプロの責任だよ。
ナース目線ポイント⑩:第35話は“患者中心”の意味が広がる回
第35話のテーマを看護師目線でまとめるなら、「患者中心の意味が広がる回」です。
丸山たちの場面では、患者中心とは、正しいケアを押しつけることではなく、患者さんのペースや気持ちを見ながら進めることだとわかります。
直美の長屋の場面では、患者中心を考える前に、そもそも医療にアクセスできない人たちがいることを思い出します。
千佳子夫人の入院では、身分の高い患者さんに対しても、肩書きに圧倒されず、一人の患者として見ることが求められます。
直美の拒否では、患者中心とは、自分の技量を超えて無理に引き受けることではなく、安全のために断ることも含むと示されます。
患者中心という言葉は、優しい響きがあります。
でも実際には、とても難しい言葉です。
患者さんの希望を聞く。
患者さんの反応を見る。
患者さんの社会的背景を見る。
患者さんの安全を守る。
他の患者さんとの公平性も考える。
自分の力量も見極める。
これらすべてが、患者中心の看護につながります。

第35話は、患者中心って一言では済まないんだと感じました。

そうだね。患者さんのためと言っても、効率、安心、公平性、社会的背景、看護師の力量が全部関わる。第35話は、その複雑さをよく見せてくれた回だったよ。
新人看護師さんが第35話から学べること
第35話から新人看護師さんが学べることは、たくさんあります。
まず、正しいケアでも患者さんの反応を見ることです。
歩行練習、食事、処置、内服、清潔ケア。必要なことでも、患者さんがどう感じているかを見ます。表情、疲労、痛み、不安、文句を言いづらい空気がないかを観察しましょう。
次に、患者さんが弱音を言える関係を作ることです。
「つらかったら言ってください」「無理なら一緒に調整しましょう」と伝えることで、患者さんは安心して本音を出しやすくなります。
三つ目は、医療に届かない人がいることを意識することです。
病院に来ている患者さんだけでなく、経済的・社会的な理由で医療につながりにくい人がいると知ることは、退院支援や地域看護の視点につながります。
四つ目は、VIP患者さんにも公平な看護をすることです。
礼節は大切ですが、肩書きに圧倒されすぎず、必要な観察、説明、安全確認を行います。他の患者さんのケアが置き去りにならないよう、チームで全体を見ることも大切です。
五つ目は、自分の技量を超える時に助けを求めることです。
「できません」で終わるのではなく、「指導をお願いします」「一緒に確認してください」と伝えます。無理に一人で抱えることは、患者さんの安全を損なう可能性があります。

第35話は、看護師の優しさだけでなく、判断力や断る力も必要だとわかる回ですね。

そう。患者さんに寄り添うことと、自分の力量を見極めることは両方大切。新人さんは特に、一人で抱えずチームで看護する意識を持ってほしいね。
先輩看護師・指導者に伝えたいこと
第35話は、指導者にとっても大切な学びがあります。
新人さんがきびきび動けるようになると、つい「できるようになった」と見てしまいます。けれど、直美のように効率よく動ける人ほど、患者さんの反応を見落とすことがあります。
指導者は、実施したケアだけでなく、患者さんの反応を一緒に振り返る必要があります。
「歩行練習の後、表情はどうだった?」
「患者さんは文句を言いやすそうだった?」
「食事を促した時、吐き気や疲労は見た?」
「患者さんのためにしたことが、患者さんにどう受け取られたと思う?」
こうした問いは、新人さんの視点を患者さんに戻します。
また、新人さんが「自分には技量がない」と言った時、それをすぐに「弱気」と決めつけないことも大切です。
本当に危険を察知しているのかもしれません。自分の限界を見ているのかもしれません。必要なのは、無理にやらせることではなく、どこに不安があるのかを確認し、支援しながら経験を積ませることです。
「どこが不安?」
「一緒に入ればできそう?」
「事前に観察ポイントを整理しよう」
「今回は私が主で入るから、あなたはここを見て」
こうした支援が、できないを成長に変えます。

新人が「できません」と言える空気も大事ですね。

本当に大事。言えない空気だと、危ないまま抱えてしまう。できないと言えることは、患者安全のセンサーでもあるんだよ。
第35話を看護師目線で読み解くと
第35話は、直美とりんの看護の違い、医療格差、VIP患者対応、自分の力量を見極める勇気が描かれた回でした。
丸山たちは、直美よりりんがいいと言います。
直美は正しいことを進める力があります。でも、患者さんにとっては少し息苦しい。りんは不器用だけれど、患者さんが弱音を出せる空気を持っています。
直美が長屋で聞く言葉は、立派な病院に届かない人たちの存在を思い出させます。
千佳子夫人の入院は、病院の優先順位が社会的な力に揺さぶられることを見せます。
そして直美の「技量がない」という拒否は、看護師が自分の力量を見極める大切さを示します。
第35話は、患者中心の看護をいろいろな角度から問い直す回でした。
患者さんのために正しいことをする。
患者さんが安心できるようにする。
医療に届かない人を忘れない。
VIP患者にも一人の患者として向き合う。
自分の技量を超える時は助けを求める。
これらはすべて、看護師に必要な視点です。

第35話は、りんさんと直美さんのどちらが正しいというより、どちらにも学ぶところがありますね。

そうだね。直美さんの効率と現実を動かす力、りんさんの安心感と患者さんのペースを見る力。どちらも看護に必要。二人が互いの強みを学べると、もっといい看護につながると思うよ。
よくある質問
Q1. 患者さんのために必要なケアなのに嫌がられる時はどうすればいいですか?
まず、患者さんが何を嫌がっているのかを確認します。
痛みがあるのか、不安なのか、疲れているのか、説明が足りないのか、ペースが速すぎるのか。必要性を説明しつつ、患者さんの反応を見ながらタイミングや方法を調整しましょう。
Q2. 効率よく動くことは悪いことですか?
悪いことではありません。
看護師には段取り力が必要です。ただし、効率が患者さんのペースや気持ちを置き去りにしていないか確認することが大切です。効率は患者さんを急がせるためではなく、より安全にケアするために使います。
Q3. VIP患者さんへの対応で気をつけることは何ですか?
礼節を保ちながらも、肩書きではなく患者さんの状態を見ることです。
必要な観察、説明、安全確認は他の患者さんと同じように行います。また、特定の患者さんに注意が集中しすぎて、他の患者さんのケアが抜けないようにチームで全体を見ることが大切です。
Q4. 自分には技量がないと感じた時、どう伝えればいいですか?
「できません」だけで終わらせず、支援を求める形で伝えましょう。
「一人で対応するには不安があります。観察ポイントを確認して一緒に入っていただけますか」「経験がないので指導をお願いします」のように伝えると、患者安全と自分の成長の両方につながります。
まとめ:第35話は“患者中心の看護”を問い直す回
朝ドラ「風、薫る」第35話は、丸山たちが「直美より、りんがいい」と話す場面、長屋で見える医療格差、千佳子夫人の入院、そして直美が看病を拒む場面が描かれた回でした。
看護師目線で見ると、この回のテーマは「患者中心の看護」です。
正しいケアでも、患者さんの反応を見なければ押しつけになります。
効率的なケアでも、患者さんが弱音を言えなければ安全ではありません。
VIP患者さんでも、肩書きではなく一人の患者として見る必要があります。
自分の技量を超える時は、断る勇気と助けを求める力が必要です。

第35話を見て、看護って本当にバランスが難しいと思いました。効率、安心、公平性、技量、全部見ないといけないんですね。

うん。だから看護は奥深いんだよ。第35話は、りんさんと直美さんの違いを通して、患者中心という言葉の難しさと大切さを教えてくれる回だったね。
参考:
シネマトゥデイ「朝ドラ『風、薫る』千佳子(仲間由紀恵)が入院 第35回あらすじ」
cinemacafe.net「『風、薫る』第35回あらすじ・場面写真」
emogram「NHK朝ドラ『風、薫る』ワガママ侯爵夫人・千佳子の登場に視聴者悲鳴」
ダイヤモンド・オンライン「仲間由紀恵が登場!身勝手すぎる“公爵夫人”で『やっかい』と不評」
MANTANWEB「『風、薫る』第35回、千佳子夫人の登場で病院に緊張」
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