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✅ 朝ドラ「風、薫る」第37話の流れがわかる
✅ 千佳子夫人の「手術したくない」を看護師目線で整理できる
✅ 治療拒否の背景にある価値観や恐怖を考えられる
✅ 「潔く死にたい」という言葉をどう受け止めるか学べる
✅ 新人看護師さんが患者さんの意思決定支援で大切にしたい視点がわかる

しーちゃん、第37話は千佳子夫人の本音が少し見えましたね。前回まではただ気難しい人に見えたけど、「手術したくない」「武家の娘だから潔く死にたい」って言葉を聞くと、急に胸が苦しくなりました。

そうだね。第37話は、千佳子夫人の拒否が単なるわがままではなく、病気への恐怖、身体を失う不安、武家の女としての価値観、弱さを見せられない苦しさとつながっていることが見えてきた回だったよ。看護師にとっては、治療拒否の奥にある“その人の人生”を見る大切さが詰まっていたね。
- 朝ドラ「風、薫る」第37話のあらすじ
- ナース目線ポイント①:「手術したくない」は単なる拒否ではない
- ナース目線ポイント②:「潔く死にたい」は本当に死にたいとは限らない
- ナース目線ポイント③:武家の女としての価値観を否定しない
- ナース目線ポイント④:りんの自己開示は“距離を縮める技術”
- ナース目線ポイント⑤:意思決定支援は“説得”ではない
- ナース目線ポイント⑥:夫・元彦の前で本音を言えない理由
- ナース目線ポイント⑦:「生きる力になりたい」は看護の核心
- ナース目線ポイント⑧:手術拒否の“本当の理由”はすぐには出てこない
- ナース目線ポイント⑨:治療拒否はチームで支える
- ナース目線ポイント⑩:第37話は“患者の価値観に近づく”回
- ナース目線ポイント⑪:直美の“ズル賢さ”は患者対応の引き出し
- ナース目線ポイント⑫:同期に支えられることも看護を続ける力になる
- 新人看護師さんが第37話から学べること
- 先輩看護師・指導者に伝えたいこと
- 第37話を看護師目線で読み解くと
- よくある質問
- まとめ:第37話は“治療拒否の奥にある本音”を見る回
- 🛒 しーちゃんのおすすめ情報
朝ドラ「風、薫る」第37話のあらすじ
第37話では、千佳子夫人のもとに夫・元彦が見舞いに訪れます。
千佳子夫人は乳がんの疑いで入院し、手術を受ける予定になっています。しかし前回から、看護婦であるりんを強く拒み、脈拍測定や排泄確認さえ無礼だとして部屋から追い出していました。看護婦という存在を信用しておらず、病院全体も侯爵夫人の対応に緊張しています。
夫の元彦が見舞いに来ると、医師もすぐに駆けつけて病状を説明します。ところが千佳子夫人は、わざと物を落として話を中断させるような行動を取ります。病状説明を聞きたくないのか、夫や医師に本音を見せたくないのか、その場には緊張した空気が流れます。
家族と医師がいなくなった後、千佳子夫人はりんに本音を漏らします。
本当は手術をしたくない。
自分は華族であり、武家の娘でもある。潔く死にたい。
それは、単なる治療拒否の言葉ではありませんでした。病気そのものへの恐怖、乳房の手術への抵抗、武家の娘として弱さを見せられない思い、自分の身体や人生を他人に委ねることへの強い拒否感がにじむ言葉でした。
りんは、自分も元は武士であると伝えます。そして、自分が看護婦として働こうと思ったのは、自分の力で生きていくためだと話します。じたばたあがいて、しがみついて生きている。奥様の生きる力になりたい。りんは、千佳子夫人の価値観を頭ごなしに否定するのではなく、自分の生き方を差し出すように語ります。
千佳子夫人は、りんに少し心を開きかけます。しかし、手術を拒む本当の理由までは話しません。
第37話は、看護師が患者さんの拒否の奥にある本音へ、ほんの少し近づく回でした。
同じ頃、直美も担当患者の丸山から痛いひと言を受け、自分の関わり方を考えます。直美は正面から患者さんの心に飛び込むというより、相手の性格や病室全体の空気を読みながら、周囲を巻き込んで関係を動かしていくタイプです。
助教授の藤田をほめる流れを作り、丸山や他の患者たちも巻き込んで、病室の空気を少し変えていきます。その姿を見た周囲からは「ズルい女」と言われますが、直美は「ズル賢い女」と言い直します。
この場面も看護師目線では大切です。患者さんと関わる方法は一つではありません。りんのようにまっすぐ悩み、患者さんの価値観に近づこうとする看護もあります。直美のように、場の空気や人間関係を読み、少し遠回りに患者さんの協力を引き出す看護もあります。
また、実習を終えた後、りんと直美は悩みを分かち合います。同期たちも二人を心配し、おにぎりを持って集まります。患者さんの気持ちを完全にわかることはできない。それでも、わかろうと努めるしかない。第37話は、患者理解の難しさと同時に、看護師同士が支え合う意味も描いた回でした。

りんさん、説得しようとするんじゃなくて、自分の生き方を話したんですよね。そこがすごく印象的でした。

うん。治療を拒否する患者さんに、すぐ「受けた方がいいです」と言っても届かないことがある。まず、その人が何を怖がり、何を守ろうとしているのかを聞くことが大切なんだよ。
ナース目線ポイント①:「手術したくない」は単なる拒否ではない
第37話で千佳子夫人が口にした「手術したくない」という言葉。
看護師は、この言葉をそのまま「治療拒否」とだけ受け取るのではなく、その背景を見ます。
なぜ手術をしたくないのか。
何が怖いのか。
何を失うと思っているのか。
誰にどう見られることを恐れているのか。
手術後の生活をどう想像しているのか。
病気をどう受け止めているのか。
患者さんが治療を拒む時、理由は一つとは限りません。
痛みが怖い。
麻酔が怖い。
手術で身体が変わるのが怖い。
がんという言葉を受け入れられない。
家族に迷惑をかけたくない。
治療後の生活が想像できない。
自分らしさが失われると感じる。
過去に医療でつらい経験がある。
千佳子夫人の場合は、乳房の手術、侯爵夫人としての体面、武家の娘としての価値観が重なっているように見えます。
看護師がまず行うべきなのは、「手術しないとだめです」と説得することだけではありません。
その言葉の奥にある恐怖や価値観を知ることです。

患者さんが「したくない」と言うと、どう説得するかを考えてしまいそうです。

説得の前に理解だね。理解されていないと感じる相手からの説得は、患者さんにとって押しつけに聞こえることがある。まず「何が一番不安ですか」と聞くことが大切だよ。
ナース目線ポイント②:「潔く死にたい」は本当に死にたいとは限らない
千佳子夫人は、「武家の娘だから潔く死にたい」という趣旨の言葉を口にします。
この言葉は、とても重いです。
看護師としては、患者さんが「死にたい」「もういい」「治療したくない」と言った時、すぐにその言葉だけで判断してはいけません。
本当に死を望んでいるのか。
苦痛から逃れたいのか。
手術への恐怖をそう表現しているのか。
弱さを見せるくらいなら死を選びたいという価値観なのか。
誰にも迷惑をかけたくないという思いなのか。
自分の尊厳を守る言葉なのか。
言葉の奥を丁寧に見る必要があります。
「潔く死にたい」は、死そのものへの希望ではなく、「惨めな姿を見せたくない」「自分らしさを失いたくない」「他人に身体を委ねたくない」という叫びかもしれません。
現代の看護でも、患者さんが強い言葉を使うことがあります。
「もう治療は嫌です」
「家に帰って死にたい」
「こんな身体なら生きていても仕方ない」
こうした言葉を聞いた時、看護師は驚きます。でも、その場で否定したり、慌てて説得したりする前に、まず受け止めます。
「そう思うほどつらいのですね」
「何が一番苦しいですか」
「手術のどの部分が怖いですか」
「どんな姿になることが一番不安ですか」
患者さんの言葉を入口にして、本当の苦しさへ近づいていくことが大切です。

「死にたい」って言われたら、怖くてすぐ否定してしまいそうです。

怖いよね。でもすぐ否定されると、患者さんは本音を閉じてしまうことがある。もちろん安全確認は必要だけど、まずは「そう思うくらいつらい」と受け止めることが大切だよ。
ナース目線ポイント③:武家の女としての価値観を否定しない
千佳子夫人は、自分を「武家の娘」として語ります。
この価値観は、現代の私たちから見ると、少し遠く感じるかもしれません。つらくても弱音を吐かない。潔くある。見苦しくあがかない。そうした考え方は、治療を受けて生きることを選ぶ現代医療の感覚とはぶつかることがあります。
でも、看護師は患者さんの価値観をすぐに否定しません。
その価値観は、その人が長い時間をかけて身につけてきた生き方です。千佳子夫人にとって、武家の娘としての誇りは、自分を支えてきた柱でもあります。
患者さんの価値観は、時に治療の妨げになることがあります。
弱音を吐かない。
家族に迷惑をかけない。
痛みを我慢する。
医療者に頼らない。
自分で決めたことを曲げない。
でも、その価値観は、同時にその人を支えてきた強みでもあります。
看護師は、「その考えは間違っています」と切り捨てるのではなく、「その価値観を大切にしながら、どう治療を受けられるか」を一緒に考える必要があります。
りんは、自分も元は武士であると話しました。
これは、千佳子夫人の価値観を否定せず、同じ土俵に少しだけ立とうとする関わりです。

患者さんの価値観が治療の妨げになっているように見える時、どうしたらいいんでしょう。

まずは、その価値観がその人にとって何を守ってきたのかを見ることだね。否定から入るのではなく、「その思いを大切にしながら安全に治療するにはどうするか」を一緒に考えるのが看護だよ。
ナース目線ポイント④:りんの自己開示は“距離を縮める技術”
第37話でりんは、自分も元は武士であること、看護婦として働こうと思った理由を千佳子夫人に話します。
看護師が患者さんに自分のことを話す場面は、慎重さが必要です。
看護の中心は患者さんです。看護師の自分語りが長くなりすぎたり、自分の経験を押しつけたりすると、患者さんの話す場を奪ってしまいます。
でも、適切な自己開示は、信頼関係を作る助けになることがあります。
りんは、自分の話をすることで、千佳子夫人に「あなたの価値観をわかろうとしている」と伝えました。
私はあなたを説得するためだけにここにいるのではない。
私にも、武士としての背景がある。
でも私は、じたばたしながら生きる道を選んだ。
あなたの生きる力になりたい。
この自己開示は、千佳子夫人の言葉を引き出すための橋になっています。
現代の看護でも、自己開示は慎重に使えば有効です。
「私も同じ経験があります」とすぐ重ねるのではなく、患者さんが孤立している時に、短く、患者さんのために使う。自分の話で患者さんを説得するのではなく、患者さんが自分の気持ちを話しやすくなるように使う。
りんの言葉は、未熟さもありながら、とても看護的な自己開示だったと思います。

看護師が自分の話をしていいのか迷います。

基本は患者さんが主役。でも、患者さんの話を引き出すために短く使う自己開示は役立つことがあるよ。大事なのは、誰のための話かを見失わないことだね。
ナース目線ポイント⑤:意思決定支援は“説得”ではない
千佳子夫人は手術を拒んでいます。
医療者としては、手術を受けてもらいたい。命を守るために必要だと考える。だから説得したくなります。
でも、意思決定支援は説得ではありません。
患者さんが、自分に必要な情報を理解し、自分の価値観や生活を踏まえて、納得できる選択に近づくよう支えることです。
そのためには、いくつかの視点が必要です。
病状をどう理解しているか。
手術を受けない場合のリスクを理解しているか。
手術を受けることで何が変わると思っているか。
一番恐れていることは何か。
誰と相談したいか。
自分にとって何を守りたいか。
情報を受け取る心の準備があるか。
第37話で医師が説明しようとしても、千佳子夫人は物を落として話を中断させます。これは、説明を聞く準備ができていないサインにも見えます。
看護師は、医師の説明の場に同席するだけでなく、その前後で患者さんの理解や感情を確認する役割があります。
「先ほどの説明で、どの部分が一番気になりましたか」
「手術について、まだ聞きたいことはありますか」
「今は話を聞くのがつらいですか」
「誰かと一緒に聞きたいですか」
こうした関わりが、意思決定を支えます。

患者さんに治療を受けてもらうことが目標だと思っていました。

医療者として勧めたい治療はある。でも看護師の役割は、患者さんが理解し、納得し、自分の人生として選べるよう支えること。説得だけではなく、支援なんだよ。
ナース目線ポイント⑥:夫・元彦の前で本音を言えない理由
第37話では、夫・元彦が見舞いに来ます。
しかし千佳子夫人は、夫や医師の前では本音を見せません。むしろ、物を落として話を中断させるような行動を取ります。そして家族と医師がいなくなった後、りんに本音を漏らします。
ここも看護師目線では大切です。
患者さんは、家族の前で本音を言えるとは限りません。
家族を心配させたくない。
強い自分でいたい。
弱音を見せたくない。
夫婦関係に複雑なものがある。
家族の期待に応えたい。
本音を言うと治療を強く勧められるのが怖い。
こうした理由で、家族の前では違う顔をすることがあります。
看護師は、患者さんが誰の前で、どんな言葉を使うかを観察します。
家族の前では明るい。
一人になると不安を話す。
医師の前では黙る。
看護師には本音を少し漏らす。
この違いは、重要な情報です。
千佳子夫人がりんに本音を漏らしたことは、りんが完全に信頼されたというより、夫や医師には見せられない弱さを、看護婦という微妙な距離の相手にだけ少し出せたということかもしれません。

家族がいるから安心して本音を言えるとは限らないんですね。

そう。家族は支えだけど、同時に気を遣う相手でもある。看護師は、患者さんがどの場面で何を言えるのかを見ることが大切だよ。
ナース目線ポイント⑦:「生きる力になりたい」は看護の核心
りんは千佳子夫人に、「奥様の生きる力になりたい」という思いを伝えます。
この言葉は、第37話の大きな核です。
看護師は、患者さんの病気を治す主体ではありません。手術をするのは医師です。薬を処方するのも医師です。検査や治療には多くの専門職が関わります。
では、看護師は何をするのか。
患者さんが病気と向き合う力を支えます。
痛みを和らげる。
不安を言葉にできる場を作る。
身体を清潔に保つ。
眠れる環境を整える。
治療の説明を理解できるよう支える。
患者さんの価値観をチームに伝える。
回復後の生活を一緒に考える。
生きたい気持ちが揺らぐ時に、そばにいる。
りんの「生きる力になりたい」は、看護師の役割をとてもよく表しています。
ただし、看護師が患者さんを無理に生かすという意味ではありません。
患者さんが自分の人生をどう生きるかを考える時、その人の力が少しでも戻るように支えることです。

看護師は治す人ではないけど、生きる力を支える人なんですね。

そう。病気を治すことだけが医療じゃない。患者さんが自分の人生を引き受けていく力を支えることも、看護の大きな役割だよ。
ナース目線ポイント⑧:手術拒否の“本当の理由”はすぐには出てこない
第37話で千佳子夫人は、りんに少し心を開きかけます。
でも、手術を拒む本当の理由はまだ話しません。
ここがとてもリアルです。
患者さんは、少し話してくれたからといって、すぐにすべてを話すわけではありません。
本当の理由は、自分でも言葉になっていないことがあります。言うのが怖いこともあります。言ったら自分が壊れてしまいそうなこともあります。相手を試していることもあります。
看護師は、焦って深掘りしすぎないことが大切です。
「なぜですか」
「本当の理由を教えてください」
「話さないとわかりません」
こうした聞き方は、患者さんを追い詰めることがあります。
少し話してくれたことを大切に受け止める。
今は話せないことがあると理解する。
次に話せる余地を残す。
無理に聞き出そうとしない。
この姿勢が、信頼関係を育てます。
千佳子夫人が本当の理由を話さなかったことは、りんの失敗ではありません。関係づくりの途中です。

少し話してくれると、もっと聞きたくなってしまいます。

わかるよ。でも患者さんのペースがある。話してくれた分を丁寧に受け止めて、次も話していいと思ってもらうことが大切だよ。
ナース目線ポイント⑨:治療拒否はチームで支える
千佳子夫人のように手術を拒否する患者さんに対して、看護師一人で何とかしようとするのは危険です。
治療拒否には、医学的、心理的、社会的、倫理的な要素が絡みます。
医師は病状や治療の選択肢を説明します。
看護師は患者さんの理解、不安、価値観、日常の反応を見ます。
家族は患者さんの支えにも、時には負担にもなります。
必要に応じて、心理職、相談員、宗教者、倫理カンファレンスなどが関わることもあります。
現代の医療では、患者さんの意思決定をチームで支えることが大切です。
看護師が患者さんの本音を聞いた時、それをどうチームに共有するかも重要です。
「奥様は手術をしたくないと話されています」
「死そのものより、武家の娘として見苦しく生きることへの抵抗を話されました」
「夫や医師の前では本音を出しにくい様子です」
「説明を聞く準備が整っていないように見えます」
こうした情報は、治療方針を考える上で大切です。
もちろん、患者さんが看護師に話したことを何でもそのまま広めてよいわけではありません。プライバシーに配慮し、患者さんの安全と治療に必要な範囲で共有します。

患者さんの本音を聞いた時、どこまでチームに伝えるか迷います。

迷うよね。患者さんの信頼を守りながら、治療や安全に必要な情報は共有する。そのバランスが大事。迷ったら先輩に相談して、一人で抱えないことだよ。
ナース目線ポイント⑩:第37話は“患者の価値観に近づく”回
第37話のテーマを看護師目線でまとめるなら、「患者さんの価値観に近づく回」です。
第36話では、りんは千佳子夫人に拒まれました。脈を測ることも、排泄を確認することも、無礼だとして追い出されました。
第37話では、その拒否の奥にあるものが少し見えます。
手術が怖い。
武家の娘として潔くありたい。
弱さを見せたくない。
手術を受けてまで生きる自分を受け入れられない。
夫や医師の前では言えない本音がある。
りんは、その価値観を否定しません。
自分も元は武士だと伝え、自分はじたばたしながら生きる道を選んだと話します。そして、奥様の生きる力になりたいと伝えます。
これは、治療を押しつける言葉ではありません。
患者さんの価値観に触れながら、別の生き方の可能性をそっと差し出す言葉です。
第37話は、看護師が患者さんの本音に近づく時、正論だけでは足りないことを教えてくれます。
必要なのは、観察、説明、尊厳への配慮、価値観への敬意、そして焦らず待つ力です。

第37話で、千佳子夫人が少しだけ人間らしく見えました。怖くて、でも誇りがあって、弱さを見せられない人なんですね。

そうだね。患者さんは“困った人”ではなく、困っている背景を持つ人。第37話は、その背景にりんさんが少し近づいた回だったと思うよ。
ナース目線ポイント⑪:直美の“ズル賢さ”は患者対応の引き出し
第37話では、りんが千佳子夫人の心に近づけず悩む一方で、直美も担当患者の丸山との関係に揺れています。
直美は、りんとは違う関わり方をします。
正面から患者さんの苦しさに飛び込むというより、患者さんの性格、医師の性格、病室の空気、周囲の反応を見ながら、場を動かしていきます。助教授の藤田をうまく持ち上げ、患者たちも巻き込み、結果的に病室の雰囲気を変えてしまう。そこには、ただ優しいだけではない、現場で生き抜くための知恵があります。
看護師の関わりは、いつも清く正しく一直線でなくてもよいのです。
もちろん、患者さんをだましたり、尊厳を傷つけたりしてはいけません。でも、患者さんが受け入れやすい形を探すために、言葉を選び、タイミングを読み、周囲の力を借りることは大切です。
直美の“ズル賢さ”は、悪い意味だけではありません。
患者さんと医療者の間にある硬い空気を少しゆるめる力。医師の機嫌や病室の雰囲気まで読んで、患者さんにとって動きやすい場を作る力。自分の弱さや立場の低さを逆手に取りながら、必要な方向へ状況を運ぶ力です。
新人看護師さんは、「まっすぐ伝えること」だけが看護だと思いがちです。でも現場では、まっすぐ言うと届かないこともあります。
患者さんの性格に合わせる。
医師への伝え方を工夫する。
家族の力を借りる。
病室全体の空気を見る。
相手が受け取りやすい順番で話す。
こうした工夫も、看護の実践です。

直美さんの“ズル賢さ”って、ちょっと悪いことみたいに聞こえるけど、現場では必要な力でもあるんですね。

そうだね。看護師は正論を言うだけでは動けないことがある。患者さんや医師、家族、病室の空気を見ながら、どうしたらケアが届くかを考える。直美さんの強みは、そこを柔らかく動かせるところだと思うよ。
ナース目線ポイント⑫:同期に支えられることも看護を続ける力になる
第37話では、りんと直美だけでなく、同期たちの関係性も印象的でした。
実習を終えた後、りんは一人で悩んでいます。患者さんの気持ちをわかりたい。でも、わかると言ったら突き放される。何をすれば患者さんの力になれるのか、自分の看護は本当に届いているのか。そうした悩みを抱えています。
直美もまた、患者さんから痛い言葉を受け、自分の関わり方を考えています。
そんな二人のところへ、同期たちがおにぎりを持って集まります。
これは、看護師としてとても大切な場面です。
看護は、患者さんの苦しさに近づく仕事です。拒否されることもあります。きつい言葉を受けることもあります。何が正解かわからないまま、次の勤務に入らなければならないこともあります。
その時、同じ立場で悩める仲間がいることは大きな支えになります。
「わかるよ」と言い合うだけではなく、一緒に迷う。おにぎりを食べる。少し笑う。呼び捨てで呼べる距離になる。そうした日常の支えが、次の日また患者さんの部屋へ行く力になります。
新人看護師さんも、患者さんとの関わりでつらくなった時、一人で抱え込まないでください。
同期、先輩、指導者、リーダー、チームに話すこと。うまく言葉にできなくても、つらかった場面を共有すること。それは弱さではなく、看護を続けるために必要なケアです。

患者さんに拒否された後、同期が一緒にいてくれるだけで救われる気がします。

うん。看護師も人間だからね。患者さんを支えるには、看護師自身も支えられる必要がある。第37話のおにぎりの場面は、看護師同士のケアとしても見られると思うよ。
新人看護師さんが第37話から学べること
第37話から新人看護師さんが学べることは、たくさんあります。
まず、治療拒否の言葉をすぐに否定しないことです。
「手術したくない」「治療したくない」と言われたら、まず背景を聞きます。何が不安なのか、何を失うと思っているのか、説明を理解できているのかを確認しましょう。
次に、「死にたい」「もういい」という言葉を雑に扱わないことです。
本当に死を望んでいるのか、苦痛から逃れたいのか、尊厳を守りたいのかを丁寧に見ます。安全確認も必要ですが、まずは「そう思うほどつらい」と受け止める姿勢が大切です。
三つ目は、患者さんの価値観を否定しないことです。
患者さんの価値観が治療に影響している時も、すぐに間違いと決めつけず、その価値観が何を守っているのかを考えます。
四つ目は、自己開示を慎重に使うことです。
看護師の自分語りが中心にならないようにしながら、患者さんが話しやすくなるために短く使うことはあります。
五つ目は、治療拒否を一人で抱えないことです。
患者さんの本音を聞いたら、必要に応じて先輩やチームと共有し、意思決定支援につなげましょう。

第37話は、患者さんの言葉を表面だけで受け取らないことが大事なんだと感じました。

うん。患者さんの言葉は入口。その奥にある不安、価値観、人生を見ようとすることが、看護師の大切な役割だね。
先輩看護師・指導者に伝えたいこと
第37話は、指導者にとっても重要な回です。
新人さんが治療拒否の患者さんに出会うと、かなり戸惑います。
説得しなければと思う。
何を聞けばよいかわからない。
「死にたい」と言われて怖くなる。
家族の前と一人の時で言うことが違って混乱する。
こうした場面で、指導者は新人さんを一人にしないことが大切です。
「患者さんは何を不安にしていた?」
「手術を拒む理由をどう話していた?」
「家族の前と一人の時で違いはあった?」
「今、チームに共有すべきことは何かな?」
「次に入る時、どんな声かけをしてみる?」
こうした振り返りが、新人さんの意思決定支援の力を育てます。
また、患者さんの価値観を尊重することと、必要な医療を説明することのバランスも、指導者が一緒に考える必要があります。
患者さんの拒否を「わがまま」と片づけず、かといって看護師一人で抱え込ませず、チームで支える。第37話の千佳子夫人のような患者さんには、そうしたチームの成熟が必要です。

治療拒否の患者さんに新人一人で関わるのは怖いですね。

怖くて当然。だからチームで支えるんだよ。新人さんが聞いた本音は貴重だけど、それをどう扱うかは一人で決めなくていい。先輩と一緒に考えよう。
第37話を看護師目線で読み解くと
第37話は、千佳子夫人の手術拒否の本音に、りんが少し近づく回でした。
夫・元彦や医師の前では、千佳子夫人は本音を見せません。病状説明を遮るような行動を取り、強い態度を崩しません。
しかし、家族と医師がいなくなった後、りんには「手術したくない」「武家の娘として潔く死にたい」と漏らします。
看護師目線で見ると、ここには治療拒否の本質があります。
患者さんの拒否は、情報不足だけではありません。
恐怖、誇り、身体イメージ、家族関係、価値観、人生観が重なっています。
りんは、千佳子夫人の言葉を否定せず、自分の生き方を語ります。自分も元は武士であり、自分の力で生きるために看護婦になった。じたばたあがいて、しがみついて生きている。奥様の生きる力になりたい。
これは、看護師が患者さんの人生にどう寄り添うかを示す言葉でした。
治療を選ぶかどうかは、患者さんの人生に関わる重大な意思決定です。
看護師は、患者さんを説得するだけの存在ではありません。患者さんが自分の恐怖や価値観を言葉にできるよう支え、必要な情報が届くよう整え、チームに本音を橋渡しする存在です。

第37話は、千佳子夫人の手術拒否を通して、看護師の意思決定支援が見えた回でしたね。

そうだね。患者さんの「嫌です」の奥に何があるのか。それを見ようとするところから、看護は始まる。第37話は、りんさんがそこに踏み出した回だったと思うよ。
よくある質問
Q1. 患者さんが「手術したくない」と言ったら、まず何を聞けばいいですか?
まず、何が一番不安なのかを聞きます。
痛み、麻酔、手術後の身体の変化、家族への負担、費用、死への恐怖など、理由はさまざまです。説得の前に、患者さんが何を恐れているのかを理解することが大切です。
Q2. 「死にたい」「もういい」と言われた時、どう対応すればいいですか?
すぐ否定せず、「そう思うほどつらいのですね」と受け止めます。
そのうえで、具体的に何がつらいのか、安全上のリスクはないか、希死念慮の程度はどうかをチームで確認します。一人で抱え込まず、必ず先輩や医師に共有しましょう。
Q3. 患者さんの価値観が治療の妨げになっている時はどうすればいいですか?
価値観を否定せず、その価値観が何を守っているのかを考えます。
そのうえで、治療の必要性や選択肢を患者さんの価値観に沿って説明できるよう、チームで支援します。患者さんが納得できる形を一緒に探すことが大切です。
Q4. 患者さんが家族の前で本音を言わない時は?
家族の前と一人の時で言葉や表情が違うことはよくあります。
患者さんが安心して話せる場を作り、必要に応じて個別に話を聞きます。ただし、聞いた内容をどう共有するかは慎重に考え、治療や安全に必要な情報はチームで扱いましょう。
まとめ:第37話は“治療拒否の奥にある本音”を見る回
朝ドラ「風、薫る」第37話は、千佳子夫人が本当は手術をしたくないとりんに漏らし、りんが自分の生き方を語りながら寄り添う回でした。
看護師目線で見ると、この回のテーマは「治療拒否の奥にある本音」です。
患者さんの拒否は、わがままだけではありません。
恐怖、価値観、誇り、身体イメージ、家族の前で弱さを見せられない苦しさが隠れていることがあります。

第37話を見て、患者さんの「嫌です」を聞いた時こそ、看護師の観察と傾聴が必要なんだと思いました。

うん。「嫌です」は終わりの言葉ではなく、始まりの言葉かもしれない。そこから何を怖がっているのか、何を守りたいのかを一緒に見ていく。第37話は、その大切さを教えてくれる回だったね。
参考:
ドラマ情報館「風薫る あらすじ第37話『武家の女』」
Real Sound「『風、薫る』第37話、りんと直美が悩みを分かち合う」
Real Sound「『風、薫る』が描く“患者の気持ち”を知ることの難しさ」
emogram「第37話『ズル賢い女って言ってくれます?』」
MANTANWEB「第37回を注目度で振り返る」
シネマトゥデイ「朝ドラ『風、薫る』第37回あらすじ」
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