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「10時からの処置、10時30分にしてもらえませんか?」
——この一言で、私は人生でいちばん怒られました。
特定行為研修中の出来事です。当時の私に、悪気はまったくありませんでした。でもこの経験で、私は「他職種の時間」という視点を初めて持つことになります。看護師として働いていると見落としがちなこの感覚。チームで働くとはどういうことかを、失敗から学んだ話をします(特定行為シリーズ第2弾)。

しーちゃん、特定行為研修で学んだことって、医学的な知識以外にもあるんですか?

あるある。むしろね、いちばん記憶に残ってるのは——医師を含む多職種の「時間」について、人生でいちばん怒られたことかもしれない。

人生でいちばん…!?何があったんですか?

今思い出しても、ちょっと理不尽だったなって思う(笑)。でも、あれで確実に学んだことがあるの。恥ずかしいけど、正直に話すね。
📌 この記事でわかること
- 研修中に「人生でいちばん怒られた」出来事
- なぜ「30分ずらして」が失礼になったのか
- 看護師が自分中心に時間を考えてしまう理由
- 今の私が実践している「時間の伝え方」
- 多職種の時間単価を意識するということ
人生でいちばん怒られた日|「10時30分にしてくれませんか?」
特定行為研修中、私はまだ「学生」の立場でした。ある日、医師からこう言われたんです。
「10時から処置をやるから、来れるなら来ていいよ」
学びの機会として誘ってもらったわけです。でも、その時間には自分の他の用事が入っていた。だから私は、悪気なくこう返しました。

「10時30分からにしてくれませんか?」って言ったの。自分の予定と合わせたくて、軽い気持ちで。
そしたら——めちゃくちゃ怒られた。もう、人生でいちばんってほど。

ええっ!?たった30分ずらしてほしいって言っただけなのに…!
なぜ怒られたのか|その「10時」の裏にあったもの
怒られた理由は、こういうことでした。
その「10時」という時間は、患者さんの都合、医師の都合、いろいろなタスクを整理した結果として決まった時間だったんです。検査の予定、他の患者さんの状況、医師自身のスケジュール——それらを全部パズルのように組んだ結果が「10時」。
それを、看護師である私の都合で動かすことを提案してほしくなかった。「10時と決めたら10時なんだ」と。当時、特定行為研修の学生だった私は、こっぴどく叱られました。
💡 私が見えていなかったこと
「10時」はただの時刻ではなく、複数の人の予定を調整し尽くした”結論”だった。
私はその結論だけを見て、簡単に動かせるものだと思ってしまった。

正直に言うとね、今でも「ちょっと理不尽だったな」って思う気持ちはあるの(笑)。誘ってくれただけなのに、そこまで怒らなくても、って。

ですよね…!

でも同時に、確実に学んだこともあった。それは——相手が提案した時間を変えることが、失礼にあたる場面もあるってこと。これは、あの日まで考えたこともなかった。
看護師は、なぜ「自分中心」に時間を考えてしまうのか
ここで、自分を弁護するわけではなく、なぜ私がそう考えてしまったのかを分析してみます。同じ思考をしている看護師は、きっと多いと思うからです。
私は今まで、看護師としての視点でしか働いたことがなかった。そして看護師は、常に忙しい。だからいつも、こう考えていました。「自分の働く時間を合理的にすれば、短縮できないか」「労力を減らせないか」——つまり、常に自分を中心に仕事を組んでいたんです。
看護師の時間が「最優先」になりがちな理由
これには、看護師の仕事の性質も関係しています。
⏱ 看護師の時間が圧迫される構造
- 医師からの急な依頼(検査・処置・手術)に瞬発的に対応しなければならない
- 検査や処置は、準備の時間+処置そのものの時間がかかる
- 手術となれば、さらに準備が必要/家族の調整もある
- ——とにかく、やることがいっぱい
だから、私の中では「看護師の時間」の優先順位がかなり高かった。自分の時間をどう確保するかで、その日が回るかどうかが決まるからです。

この感覚、看護師なら分かってくれると思う。決して怠けたいわけじゃなくて、「回すため」に必死だったんだよね。

分かります…。私も「この時間にこれを終わらせないと」ってことばかり考えてます。
学んだこと|他職種にも「時間単価」がある
でも、あの日から私の考え方は変わりました。
他の職種の「時間単価」も意識しないといけない。だって、チームだから。
医師にも、リハビリのスタッフにも、薬剤師にも、それぞれの一日があり、それぞれの調整があり、それぞれの時間の重みがある。自分の都合だけで動かそうとすれば——相手に失礼をしてしまうことがある。これを学びました。

「チーム医療」って言葉、学生のときから何度も聞くでしょ?でも私が本当に理解したのは、あの日怒られてからだった。相手の時間を想像できて、はじめてチームなんだって。

言葉としては知ってても、体で分かるのは別なんですね…。
今の私がやっていること|時間の「伝え方」を変えた
この経験から、私は自分が時間を決められる立場のときの伝え方を変えました。逆の立場になったときこそ、あの日の学びが活きるからです。
🗣 しーちゃんの時間の伝え方
- ずらせる場合…「この時間にしたいですが、ずらすこともできます」と最初から伝える
- ずらせない場合…「今回はずらせないのですが、どうしますか?」と、理由と選択肢をわかりやすく伝える
大事なのは、相手に「動かしていいのか、いけないのか」が分かるように伝えること。あの日の私は、それが分からないまま提案して怒られました。だったら自分は、相手にその判断材料を渡そう——そう思ったんです。

「10時です」だけだと、相手は動かしていいか分からないでしょ?「10時です。ずらせません」まで言えば、相手は次の行動を選べる。ひと言足すだけで、無用な衝突は減らせるの。

それ、すごく親切ですね…!私も先輩に予定を伝えるとき、そこまで言えていませんでした。
新人のあなたへ|「相手の時間を想像する」だけでいい
新人のうちは、医師や他職種に時間の提案をする場面はまだ少ないかもしれません。でも、この感覚は早いうちに持っておくと、必ず役に立ちます。
たとえば、医師に報告するタイミング。リハビリの人が来る時間。検査出しの時間。それぞれの向こう側にも、調整された予定がある。そう想像できるだけで、あなたの動き方は変わります。
そして——もし何かで強く怒られる日が来ても、そこには理由があるかもしれない。理不尽に感じても、あとから「ああ、そういうことか」と分かることがある。私がまさにそうでした(ただし、単なる理不尽な言動もあるので、そこは見分けてくださいね)。
✅ この記事のまとめ
- 研修中「10時→10時30分に」と提案して人生でいちばん怒られた
- その「10時」は、患者・医師・タスクを整理し尽くした結論だった
- 相手が提案した時間を変えるのが、失礼になる場面もある
- 看護師は構造上、自分の時間を最優先に考えがち(急な依頼・準備・家族調整)
- でもチームである以上、他職種の時間単価も意識する必要がある
- 自分が時間を決めるときは「ずらせる/ずらせない」を明確に伝える

恥ずかしい失敗談だけど、あの日があったから今がある。あなたには、怒られる前に知っておいてほしくて書きました。

貴重な失敗談、ありがとうございます!私も「相手の時間」を想像してみます。
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